ライフ

大石内蔵助こそ史上最高のリーダーだと東大大学院教授が指摘

 各界の識者に日本史上最高のリーダーというテーマで「週刊ポスト」がとった緊急アンケート。ここで、山本博文・東京大学大学院教授は主君浅野長矩の仇討ちのため、元禄15年12月15日未明に江戸の吉良邸へ討ち入りした播磨国赤穂藩の筆頭家老、大石内蔵助をあげている。なぜ、大石こそ史上最高なのか、山本教授が解説した。

 * * *
 大石内蔵助はもと赤穂藩筆頭家老である。元禄15年12月14日(実際は15日未明)、主君浅野内匠頭の仇吉良上野介邸に討ち入りして、吉良の首を取った。主君の切腹から1年9か月もの時間がたっていた。

 大石がまず目指したのは、主君の弟浅野大学による御家再興と吉良への処分の嘆願である。しかし、武士の面子のためには吉良を討つことこそが必要だとして、大石を激しく突き上る者も少なくなかった。
 
 大石は、急進派を押さえるため同志を江戸に送り、自身も江戸に出て急進派をなだめ、寓居とした京都・山科に帰ってからも、同志を江戸に送って吉良邸の様子を探らせた。そして御家再興の望みが断たれると、上方在住の同志をまとめて江戸に下り、吉良が在宅する日をつきとめて討ち入りに成功した。

 藩の財産を処分し藩士たちに分配した残り金の使途を書き留めた『金銀請払帳』を見ると、大石が、急進派を押さえ、浪人生活の中で困窮する旧藩士たちの生活援助を行ない、47人もの同志を繋ぎ止めて、ついに本懐を遂げた苦労が手に取るようにわかる。さまざまな困難を乗り越えて目的を達成した大石は、「日本史上最高のリーダー」とするにふさわしい人物である。

※週刊ポスト2012年12月21・28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
普通のおじさんがSNSでなりすまされた(写真提供/イメージマート)
《50代男性が告白「まさか自分が…」》なりすまし被害が一般人にも拡大 生成AIを活用した偽アカウントから投資や儲け話の勧誘…被害に遭わないためには?
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン