国内

維新のブレーン たちあがれ日本メンバーの合流に困っていた

 結党間もない新党としては、「議席数54」は大健闘といえるかもしれない。だが、「300人を擁立して政権を取る」と宣言し、国民の注目を集めた往時の勢いが鮮烈な記憶として残るだけに、この結果には「尻すぼみ」「期待外れ」の印象は拭いようがない。

 橋下徹・大阪市長が率いる日本維新の会はなぜ大失速したのか。大阪都構想のブレーンを務めた古賀茂明(元経産官僚)、高橋洋一(元内閣参事官)、長谷川幸洋(ジャーナリスト)の3氏が、その真相を語り合った――。

―― 一時は「第三極政権」の中軸とも期待された維新の失速を、「ブレーン」と呼ばれた立場としてどう見るか?

長谷川:私はほとんど部外者として見ているけど、石原(慎太郎)さんとの合流で、維新の政策が非常にわかりにくくなりました。橋下さんは脱原発を目指していたはずですが、核武装シミュレーション論者の石原さんが核燃料サイクルをやめられるわけがない。

「中央集権体制打破」はいいとしても、原発と消費税、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)という個別の政策の方向感が橋下、石原で全然違う。その結果、政策の軸が非常にあいまいになったと思います。

高橋:維新のブレーンたちはみんな、石原さんと一緒に旧たちあがれ日本(以下「たち日」)のメンバーが加わりそうだとなったときから困っていた。とくに(日本維新の会の候補者選考委員長を務めた)竹中平蔵さんとたち日の平沼赳夫さんは絶対ダメな関係ですから。

古賀:郵政民営化の時に、互いに命を賭けあったんですから(*注)。

高橋:多分、2人が顔を突き合わせたらその場で物理的なけんかをする。ほんとにやると思うよ(笑い)。

古賀:橋下さんは石原さんのことが個人的に好きなんでしょうね。ほんとに愛している。だけど橋下さんと石原さんはロミオとジュリエットの関係だと思うんです。お互いが拠って立つ、維新の家訓とたち日の家訓は真逆。

 一緒になり得ない両家を代表して、橋下さんと石原さんが結婚したら悲劇が起きる。だから、こそこそ会ってるのがいいぐらいで、ロミオとジュリエットのように、ほんとに結婚しようなんて思っちゃいけないんです。

 ツイッターで橋下さんに向けて、「間違えたということはよくお分かりだと思います。理念も政策も違う石原さんや旧たちあがれ日本の老人たちと決別してください」とつぶやいたら、3000件以上のリツイート(引用)がありました。でも普通あそこまで批判したら、橋下さんは徹底的に反論してくるはずなのに、むしろ批判に感謝するようなツイートをしてました。ほんとは彼もわかってるんだと思います。

【*注】竹中氏は小泉政権下で内閣府特命担当大臣として郵政民営化を進め、平沼氏は民営化に反対し2005年の郵政解散の際、自民党を離党した。総選挙後、竹中氏は郵政民営化担当大臣として郵政法案成立に携わった。
 
【鼎談参加者】
●こが・しげあき:大阪府市統合本部特別顧問。1955年生まれ。通産省(現経済産業省)入省後、経済産業政策課長や国家公務員制度改革推進本部事務局審議官などを歴任。2011年9月、経産省を退官。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社)など。

●たかはし・よういち:大阪市特別顧問。嘉悦大学教授、(株)政策工房会長。1955年生まれ。元財務官僚として、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)などを歴任。著書に『「借金1000兆円」に騙されるな!』(小学館101新書)など。

●はせがわ・ゆきひろ:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。政府税制調査会委員などを歴任し、現在は大阪市人事監査委員会委員長も務める。著書に『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)など。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

関連記事

トピックス

学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン