国内

維新の将来 たち日が自民へ、みんなの党合流でねじれ解消

 選挙前には多くの国民の期待を集めたにもかかわらず「議席数54」の結果に終わった橋下徹・大阪市長が率いる日本維新の会。維新の会はなぜ大失速したのか。大阪都構想のブレーンを務めた古賀茂明(元経産官僚)、高橋洋一(元内閣参事官)、長谷川幸洋(ジャーナリスト)の3氏が、その真相を語り合った――。

――期待を集めた維新の会は総選挙で54議席にとどまった。なぜ、橋下氏は自ら出馬しなかったのか。

高橋:来年の衆参W選挙であれば、橋下さんは「大阪の改革は全部実現した」といって出たかもしれない。そのくらいの勢いで政策を進めてきたのは間違いない。ただ大阪都構想の準備は最低あと半年はかかり、いまは絶対に抜けられません。

古賀:橋下さんは出馬を考えていなかったと思う。大阪府民・市民に、「大阪のことも大事だが、このままでは日本がダメになる。早く国政に出てほしい」という雰囲気があれば別の判断があっただろうが、そこまではいかなかった。

 橋下さんが国政を志向したのは、「大阪都構想実現のため」といっていたが、根底のところにこの国を変えたいという思いがあるからでしょう。そのためには、準備不足は承知で、今回の総選挙で勝負しないと間に合わなかった。

――維新に「次」はあるか。

高橋:本人が出ていないのだから次があるのは当然でしょう。失速したとかいうけど、国政政党を立ち上げていきなり54議席というのは過去なかった成果ですよ。

長谷川:私は旧たち日のメンバーが近いうちに自民党への合流を志向し、維新は割れると予測している。そうなれば、“維新橋下派”とみんなの党が合流して政策的なねじれが解消する。それで7月の参院選で再び勝負をかけるのではないか。

高橋:維新のカードは常に橋下徹1枚だけ。参院選と次の衆院選の2回、カードの裏表を使うかもしれない。

長谷川:政治の変化の出発点はやはり3年前の総選挙です。あのとき国民の多くはこれまでの官僚主導の政治はダメだといって、政治主導、地域主権を掲げた民主党に政権交代させた。民主党は期待を裏切ったが、プレーヤーが代わっても国民が期待し続けている限りそのプロセスは続いていく。だから橋下さんの出番は必ず来ると思います。

高橋:改革派の安倍さんが総裁になったからぼやけてはいるけど、旧来的な自民党はやはり大きな政府を志向している。安倍さんがいくら頑張っても、国土強靱化計画を見ればわかるように大半は既得権側なんですから。

 それに対して小さめの政府、つまり非既得権側の核になるのは維新とみんなの党だと思います。何度かの選挙の後に、政界再編によってその二つを軸とした二大政党にもう一度収斂していくのではないか。橋下さんが、その中心になるのは間違いないですよ。

【鼎談参加者】
●こが・しげあき:大阪府市統合本部特別顧問。1955年生まれ。通産省(現経済産業省)入省後、経済産業政策課長や国家公務員制度改革推進本部事務局審議官などを歴任。2011年9月、経産省を退官。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社)など。

●たかはし・よういち:大阪市特別顧問。嘉悦大学教授、(株)政策工房会長。1955年生まれ。元財務官僚として、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)などを歴任。著書に『「借金1000兆円」に騙されるな!』(小学館101新書)など。

●はせがわ・ゆきひろ:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。政府税制調査会委員などを歴任し、現在は大阪市人事監査委員会委員長も務める。著書に『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)など。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

関連キーワード

トピックス

タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《虫のようなものがチャーシューの上を…動画投稿で物議》人気ラーメンチェーン店「来来亭」で異物混入疑惑が浮上【事実確認への同社回答】
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》王貞治氏・金田正一氏との「ONK座談会」を再録 金田氏と対戦したプロデビュー戦を振り返る「本当は5打席5三振なんです」
週刊ポスト
打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト