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嵐山光三郎氏選出 高齢化社会を楽しむ方法を描いた3冊の本

 毎週、週刊ポストの書評委員がオススメの本を紹介する「この人に訊け!」。今回は、「2013年を乗り切るためにこれを読め!」と題し、作家の嵐山光三郎氏に、「高齢化社会の楽しみ方」というテーマで3冊をピックアップしてもらった。以下、その3冊と嵐山氏の解説だ。

【1】『荒凡夫 一茶』(金子兜太/白水社)
【2】『ああ面白かったと言って死にたい』(佐藤愛子/海竜社)
【3】『万能川柳 20周年記念ベスト版』(仲畑貴志編/毎日新聞社)

【1】金子兜太氏は老いてますます野性化し、本能のまま自由に生きた「荒凡夫」(アラボンプ)一茶に自分を投影する。人間の幸せは、煩悩のまま、欲のまま素朴に生きた一茶にあり!と喝破し、自分もまた「生きもの感覚」で生きていく。秀れた一茶論でありつつ、九十三歳の自己を語る迫力がすごい。

【2】佐藤愛子さんは「人生は美しいことだけ憶えていればいい。ああ面白かったと言って死ねばいい」という八十九歳。傑作小説を力ずくで書いた一念に学べ。「老人の価値は、若者よりも沢山の人生を生きていることだ」。男女関係を「真剣勝負」した小説家の名言集。

【3】シルバー川柳の本が売れているが、おっと仲畑貴志編の『万能川柳』もお見逃しなく。三句あげると「精力はなくても性欲ある矛盾」「寝返りを打って女房に誤解され」「愛犬にやっと会えると逝った人」。高齢者になっても、川柳を楽しんで笑いとばしていけば、日々楽しく生きていくことができます。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

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