みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、手元供養について考える。
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「手元供養」というものがある。
遺骨をオブジェにしたり、アクセサリーに加工して、常に手元においておくというものだ。これはロマンチックな話ですよ。人間ってさ、親とか好きな人のDNAに関するものを持ちたいって気持ちがどこかにはあると思う。
指圧の浪越徳治郎さんなんてマリリン・モンローの陰毛持ってたっていうじゃないですか。陰毛がロマンチックかどうかは別の話だけど。
遺骨を入れるペンダントをエターナルペンダントというんだが、これを身につけてたら悪いことできないと思うよ。風俗なんて絶対行けないでしょ。そうとうに罰当たりですから。
でもこのペンダントのデザインがカッコ悪い。まだ古い! だからこそ今後は若いヤツのデザインが入ってくる世界だね。クロムハーツみたいなの。これ、うまいことデザインしたら儲かるんじゃないの?
でもそこまで四六時中死んだ人のことを思ってるっていうのも精神的に重い気がしませんか? その人の死から立ち直れてない気がするじゃない?
人間には「忘れる」っていう機能があるんだからさ。死んだ途端に忘れるのは、いくらなんでも薄情だけど、辛い部分は少しずつ忘れて、早く立ち直って、故人のことは年に何回か思い出して供養すればいい。そのためにお盆とかお彼岸がある気する。
※週刊ポスト2013年1月18日号