国内

日照権ある限り東京でリーズナブルな再開発は難しいと大前氏

 安倍政権は「国土強靭化」を掲げる。大前研一氏は、「政権交代の今こそ、低コストでインフラを甦らせるチャンスだ」と指摘する。だが、その時にネックとなるのが「日照権」なのだという。

 * * *
 日本には「日照権」(建築物の日当たりを確保する権利。近隣に高層の建築物が建てられて日当たりが阻害されると予想される場合、建設中止の仮処分申請や損害賠償訴訟を起こす根拠となる)があり、それを基に各自治体が「日影規制」や「斜線制限」を条例で定めている。だから建物の上部がことごとく斜めになってしまう。

 しかし、これは海外ではほとんど類例がなく、パリやニューヨークで日照権という言葉は聞いたことがない。日当たりが欲しい人は、大都市ではなく田舎に住めばよいという考えである。日照権がある限り、東京などでリーズナブルな再開発はできないので、大都市の改造・近代化が必要となる今後30~40年はこれに基づく条例などを棚上げにすべきだと思う。

※SAPIO2013年2月号

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