芸能

『新婚さんいらっしゃい!』 40年以上続く人気の理由を識者解説

 一般人の新婚夫妻が、なれそめや日常のさまざまな出来事を面白おかしく紹介していくトーク番組『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)。司会の桂文枝、山瀬まみと新婚カップルの軽妙なやりとりで人気を集める日曜お昼の番組だ。最近では長寿番組でさえ姿を消すことが多いなか、昨年、40周年を迎えた。これだけ長い間、支持を集めているのにはどんな理由があるのだろうか? コラムニストのペリー荻野さんに聞いた。

 * * *
 長寿番組が飽きられてしまう原因のひとつにマンネリがありますが、この番組はいつも“ネタ”が新鮮ということがこれだけ続いている理由のひとつでしょう。新婚さんの出会いから、結婚までの課程、夫婦生活の話まで、100の夫婦がいると、100通りのエピソードがある。40年以上同じ“新婚さん”という“料理”を扱っていても、毎回“ネタ”が新鮮だからおいしく食べられるんですよね。

 素人夫婦から出てくる話は、どれもバカバカしいけれど微笑ましくて、ウケを狙っていないから自然な笑いにつながっている。一見、おとなしく見える人でも話を聞き出すと、ユニークなキャラクターだったりする。以前、桂文枝さんに取材したことがあるんですが、出演者のオーディションがあって、そこでは素人っぽいけれどもキャラクターが面白い人をスタッフがしっかりと選んでいるそうです。

 最近、ひな壇でお笑い芸人がトークするバラエティーが多いですが、彼らの話は“違う世界の人の話”って感じがしてしまいますが、この番組に出てくる新婚さんはどこにでもいそうな身近な人ばかりで、親戚を見ているような感覚で見られる。また、いろんな地方の人が出てくるので、その地元の人が応援したくなるような地元ネタも多いんですよね。

 お約束ですけれど、新婚さんだと“エロトーク”もよく出てきますよね。芸能人がこうした話をすると、生々しくなっちゃうけれど、素人の新婚さんの話には、ヘンないやらしさを感じさせない。新婚さんはこの機会しかいないからぶっちゃけトークになるし、そこにヘンな遠慮がないから、こちらも思い切り笑えてしまう。こうした素人夫婦がいてこその笑い、というのがこの番組のポイントですよね。

 それにこの番組は、その時代、時代の結婚というものをよく反映していると思います。番組が始まった頃は“デキ婚”でさえ珍しかった時代。それが今や、バツイチ子持ちの40代の女性が、年下の20代の男性と“年の差婚”して出てきたりもしている。出会いの場も、合コンや婚活パーティーといったものも増えてきている。そうした男女関係の時代背景みたいなものも、夫婦の話から感じることもできるんですよね。
 
 そして、やはり桂文枝さんの司会の手腕は言うまでもないでしょう。文枝さんって、相手の欠点をただネタにしたりはしないんですよね。例えば、金銭感覚がない妻が出ていたとして、“奥さんダメやないか”と言っても、夫が笑っていると“こういう穏やかな旦那だからうまくいくんかな”ってフォローする。だから、見ていてもこちらも嫌な気持ちにならないし、幸せな気持ちにすらなれる。“ささやかな幸せを共有できる”こういう番組って日曜の昼間という時間帯にもよく合っているんですよね。

 最近では、素人さんが出てくるバラエティー自体があまりないですが、文枝さんは以前、『三枝の愛ラブ!爆笑クリニック』(フジテレビ系)や『パンチDEデート』(フジテレビ系)で、一般人のカップルが参加する番組を数多くやってきた人ですから、この手の“素人いじり”は得意中の得意。そして毎回必ず、新婚さんのトークの“オチ”でイスから転げ落ちて笑いを生み出す。もはや名人芸です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン