国際情報

台湾で蔓延 死期を賭ける「末期がん賭博」で医師が丸儲け

 台湾中部に位置する台中市は、台湾では「住みたい都市ナンバーワン」といわれる街である。しかし、この街には、ある“恐ろしいギャンブル”が蔓延している。
 
「末期がん患者などの死期を賭けの対象とした『死亡時期賭博』が盛んに行なわれています。推計10億台湾ドル(約30億円)にもなる金が日々賭場と客の間を行き来しています」
 
 こう語るのは、昨年12月末、賭博現場への潜入取材に成功した、台湾の週刊誌『台湾壹週刊』の記者・林慶祥氏である。
 
 この「死亡時期賭博」は、患者が1か月以内に死亡すれば、賭け金は没収。1か月から半年までの間に死亡した場合は3倍になり、患者が半年以上生き続けると、賭け金は少しずつ減っていく。最低賭け金は2000台湾ドル(約6000円)だ。
 
 胴元は、おもに「老人会」という組織の会長が担っており、この職には地方の有力者や夜市の経営者、なかには専業主婦もいるという。
 
 賭けの対象となる患者を探してくるのは老人会に所属する「組長」とよばれるものの役目。彼らと患者の家族には賭け金から10%が支払われる。
 
「賭けに同意するのは、日々の生活にも困り、患者が亡くなった際の葬儀代も出せないような貧しい家がほとんど。より多くの賭け金を集めるため、患者の枕元で『この患者は半年は生きない』『投資先として最高だ』と組長が客に説明することもあります」(林氏)
 
 さらに驚くべきことに、この賭けで最も重要な役割を果たし、稼いでいるのは医師たちなのだという。彼らは患者の病状など、客を説得させるための情報を提供するとともに、自らも賭けに参加し大きな利益をあげているのだ。
 
 こういった事態を重くみた台中市は、今年から低所得者層に3万台湾ドル(約9万円)の葬儀補助金の交付を発表した。しかし、林氏はいう。
 
「患者の家族にもそれなりの金が入ることを考えると、9万円程度で賭博がなくなるとはとても思えません」
 
 闇は深い。

※週刊ポスト2013年2月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン