国内

シェア世界一の会社 入社試験で焼魚食べさせ社内メール禁止

「脳外科手術用顕微鏡スタンド」の三鷹光器の中村勝重社長

 誰もが名前を知るような大企業が天文学的な赤字を出し、青息吐息の状態にある中、大企業の失速を尻目に、日本には小さくてもシェア世界一の企業が、100社以上もある。世界を席巻する「町工場」のオンリーワン技術にこそ日本復活のヒントが隠されている。

 東京・三鷹市の住宅地にポツンと建つ無機質な町工場。社員40名のこの小さな会社が、世界中の命を救う機器を開発していると誰が気づくだろうか──。「三鷹光器」は天文、宇宙開発機器や、医療機器の開発で知られる。とりわけ脳外科手術用顕微鏡スタンドは、ドイツの光学機器メーカー大手『ライカ』の販売網を使い世界トップシェアだ。中村勝重社長(68)がいう。

「世界中の医師から『三鷹の製品じゃないとダメ』だといってもらえています。ウチにはアイデアとそれを実行できる頭脳があるから、少人数でも価値のあるものが作れるんです」

 社風も非常にユニーク。社内連絡においてメールは原則禁止。「文章よりも絵のほうがわかりやすい」と報告はホワイトボードに絵や図を描いて説明させる。入社試験では焼き魚定食を食べに行く。「箸で魚の身をキレイに取れるか、手先の器用さを見ている」というのが理由らしい。

 取材時、中村社長はどこを撮影しても構わないと豪語した。

「企業秘密はありませんよ。今作っているものは既に過去のもの。よその企業がこの製品を真似して作った頃、私たちは次の製品を生み出しているから」

 誇り高き技術者の言葉である。

撮影■ヤナガワゴーッ!

※週刊ポスト2013年2月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン