書籍『ハーバード流宴会術』(大和書房)が5刷を達成するなど話題となっている。ハーバード大学といえば最高峰の教育機関だ。そして、その大学院にあたるビジネススクールと宴会術が即座に結びつかない読者も多いだろう。しかし、それは大きな誤解である。総合商社で宴会力の地力を身につけ、さらにハーバード大学ビジネススクールで、ノウハウをブラッシュアップさせた児玉教仁氏はこう語る。
「世界80か国から生徒が集まるハーバード・ビジネススクールの授業は、ディスカッション形式で進行します。ベースにお互いの信頼関係がないと議論も深まらない。そうした人間関係を構築する目的で開かれるのが宴会です。ハーバードは別名ティーパーティースクールと呼ばれるほど頻繁に宴会を催しています。そして、その企画立案にはハーバード流のビジネスマインドも詰めこまれています」
ここでは重要ポイントを3つ紹介しよう。
【ビンゴゲームは絶対に避けよ】
参加者の結束を高めるのに有効なのが参加型ゲームだ。ここで御法度はビンゴ。
「ビンゴは日本の駄目な会議の縮図です。結論は決まっているのにダラダラと進行していく光景は、欧米ではまず見られません。せっかくゲームをやるのなら、参加者がお互いを知りあうきっかけになるチーム対抗型クイズが好ましい」
【賞品は物理的に大きいものを選べ】
クイズを盛り上げるツールが賞品だ。値段ではなく、「何が入っているのだろう」という期待感で勝負だ。
「可能なかぎり『大きなもの』を『大きく包むこと』が鉄則。どデカいハエたたきでも、新聞紙で包めば参加者の関心をひきます。このご時世、経費には限りがある。お金を使わずにシーンを盛り上げるアイデアこそ評価されます」
【宴会芸はリスクをとれ】
宴会芸は最大のハイライトである。慎重を期するばかりに、馴染みのメンバーによる定番ネタに走りがちだが、児玉氏は異を唱える。
「ハーバードで教わったのは『人生で一番のリスクは、リスクをとらないこと』です。勝ちパターンにばかり固執していても何の発見も呼ばない。芸目や人選でもサプライズを起こしたい」
※週刊ポスト2013年2月1日号