国内

JR東日本の「都区内フリーきっぷ」電子マネー普及で発売終了

 愛好者にとっては“悲報”だった。

 JR東日本が1月28日、東京近郊から都区内までの往復と、都内のJR東日本線が乗り降り自由になるフリーエリアがセットになった「都区内フリーきっぷ」と「都区内・りんかいフリーきっぷ」を、3月31日利用開始分を最後に発売終了すると発表した。

 都区内フリーきっぷといえば、設定区間いっぱいに移動すると、郊外から都内へ普通に往復するよりも安く移動できることでも知られていた。お得なきっぷとして親しまれていただけに、その終了を惜しむ声は少なくない。

 発売終了する理由について、JR東日本の広報に尋ねた。

――郊外から都内を訪れる場合、東京ビッグサイトで展示会を訪問したあとに有楽町へ立ち寄ったり、秋葉原で遊ぶだけでなく池袋、新宿、渋谷と足を延ばせたりと、複数の場所をめぐるのは珍しくありません。そういったニーズに便利だと「都区内フリーきっぷ」や「都区内・りんかいフリーきっぷ」は親しまれてきましたが、3月末で終了と発表されました。どういった理由でこのような決定になったのでしょうか。

「背景としては、2001年から運用が始まったSuicaの利用が定着したことがあげられます。特に、2007年からはJR以外の鉄道・路線バス会社の多くで利用されているPasmoとの相互利用が始まり、大きく利用が伸びています。Suicaの利便性が浸透して、券売機で買う切符から、IC乗車券へとシフトしてきているのです。ちょうどその時期から、これらフリーきっぷの利用客数が減っています」

――都区内フリーきっぷの役割が、もう終わったということなのでしょうか。

「2001年発売開始の都区内フリーきっぷと、2006年から発売した都区内・りんかいフリーきっぷはもともと、郊外から、東京方面への移動を誘導促進しようという狙いで始まったものでした。ところが、今となっては商品特性と利用実態とが合わなくなってきているようなのです。

 たとえば、これらフリーきっぷでは、大宮駅からJRに乗って東京都区内へ行き、帰るときは浦和駅で降りるといったことができませんでした。途中下車ができず、出発駅と到着駅は同じ場所でなければならなかった。こういった都区内フリーきっぷの特性が、現在の多様化した利用実態にマッチしていないのです」

――都内を自由に乗り降りしたい利用者はまだまだ多いと思いますが。

「都内へ到着してから購入することになりますが、23区内で購入できる都区内パスというきっぷがあります。都区内パスを利用していただければ、23区内を自由に乗り降りできます。戸惑われる方もいらっしゃるかもしれませんが、フリーきっぷに限らず、旅行商品なども今後、利用実態にあわせて見通しをして変更していきます」

 小銭を用意せずとも、気軽に乗り降りできるIC乗車券が登場して10年を越えた。そして、人々の電車の利用の仕方も、短期間に大きく変化してきている。

 いまや新幹線でも、ネットで予約して、紙の切符を介さずともIC乗車券だけで乗車できるようになった。一方で利用者のメリットが大きかった都区内フリーきっぷが消えていくのは寂しい気もするが、思い立ったが吉日、フレキシブルな旅程をストレスなく楽しみたい今の利用者は、もっと自由度が高いものを求めているということなのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン