スポーツ

東大野球部監督「受験も野球もミスしないことが勝利の秘訣」

 東大野球部は目下、どん底にある。2010年秋に早大に土をつけて以降勝利はなく、リーグ戦は46連敗中。30季(15年)連続で最下位を独走する。そんなチームに、「遥かなる一勝」をもたらすべく招聘されたのが同部OBで、都内で学習塾を経営する浜田一志氏(48)だ。浜田氏による「東大野球部再生計画」を、ジャーナリストの森健氏がリポートする。(文中敬称略)

 * * *
 浜田が監督をはじめて気づいたのが、選手の不安感だった。選手と向き合っていると、「弱気の虫」が眼の奥に映る。その弱気が大事な場面でプレーに現れる。

「ここぞという時にポロっと失敗し、勝利を逃してしまう。技術の問題もあるけど、その前のメンタルで自滅しているんです。だからいま必要なのは、とにかく勝つ、勝てるんだという意識をもつこと。それはいまの時期から養うことでもあるんです」

 その意識涵養のために導入したのが、徹底した基礎基本の練習メニューだ。筋トレでもノックでも基本中の基本のメニューを繰り返し反復する。選手にとって練習がおもしろくないのは十分承知。だが、あえてそれを命じている。

「受験勉強もそうだけれど、ミスをしないことが勝利の秘訣。逆に、試合で向こうがミスをしたときには、一気に畳み掛ける力をつける。それには基礎基本が身についていないといけない。基礎基本がしっかりしていれば、必ず本番で活かされる。身体もメンタルも基礎基本が重要なんです」

 こうした考え方は自身の受験指導の経験も影響している。塾を開業時、生徒として目していたのは、偏差値の高いハイクラスの生徒だった。だが、現実にはそうした生徒は大手の予備校に流れてしまっていた。焦った浜田は開業翌年から戦略を転換。勉強の苦手な子を主な対象にし、基礎基本を徹底する勉強法にした。真逆のやり方だったが、この方針が功を奏した。続々と好結果が上がりだした。

「一回難題を解けたとしても、次に解けるかわからないようでは、本当の力とは言えない。むしろ徹底的に原理原則を身につけるほうが、ミスをしないので成績が伸びる。手の届かないものより、手が届きそうなところを固めていく。こうした戦略は野球でも同じことだと思うんです。また、結果がよくなれば、やる気も一層上がる。メンタルにもいいんです」

※週刊ポスト2013年2月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、大学進学で変化する“親子の距離” 秋篠宮ご夫妻は筑波大学入学式を欠席、「9月の成年式を節目に子離れしなくては…」紀子さまは複雑な心境か
女性セブン
ニューヨークのエンパイヤ・ステイトビルの土産店で購入したゴリラのぬいぐるみ「ゴンちゃん」は、公演旅行に必ず連れて行く相棒
【密着インタビュー】仲代達矢・92歳、異色の反戦劇を再々演「これが引退の芝居だと思ってもいないし、思いたくもないんです」 役者一筋73年の思い
週刊ポスト
品川区にある碑文谷一家本部。ドアの側に掲示スペースがある
有名ヤクザ組織が再び“義憤文”「ストーカーを撲滅する覚悟」張り出した理由を直撃すると… 半年前には「闇バイト強盗に断固たる処置」で話題に
NEWSポストセブン
現在は5人がそれぞれの道を歩んでいる(撮影/小澤正朗)
《再集結で再注目》CHA-CHAが男性アイドル史に残した“もうひとつの伝説”「お笑いができるアイドル」の先駆者だった
NEWSポストセブン
『THE SECOND』総合演出の日置祐貴氏(撮影/山口京和)
【漫才賞レースTHE SECOND】第3回大会はフジテレビ問題の逆境で「開催中止の可能性もゼロではないと思っていた」 番組の総合演出が語る苦悩と番組への思い
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン