先日、80歳で亡くなった映画監督の大島渚さんは1996年に脳出血で倒れ、それ以来長らく闘病とリハビリを続けていたことでも知られている。生前の大島が悩まされた脳出血、脳梗塞と食生活について作家の山藤章一郎氏がつづる。
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脳出血の最大の要因は、高血圧、高脂血症、糖尿病。これにかからない予防は、塩、脂、糖をなるべく減らす。完食、間食、ドカ食い、飲み過ぎ禁止。もうひとつ。脳梗塞の要因は高血圧、高脂血症、喫煙が引き起こす動脈硬化である。予防はこれも、高カロリー、高コレステロール、高脂肪の食生活をやめること。理想は、1500キロカロリー、塩分7グラム。血管の壁を強化するために卵、大豆製品、鶏肉、魚を食べる。
血中コレステロールを上げる動物性脂肪は控える。リンゴ、バナナ、枝豆、かぼちゃなど、塩分の排出をうながすカリウムを多く含む食品を積極的に摂る。
具体的に良い食材とは──。
青魚。イカ、タコ、カニなどのタウリン。にんにく、しょうが、タマネギ。きのこ、こんにゃく、海藻の繊維。グリーンアスパラのルチン。植物性のオリーブオイル。
いずれにしろ、高血圧にならないことが、脳卒中をふせぐ第一の予防となる。
食塩を摂り過ぎると、ナトリウムの作用で血液量が増え、血管内圧が上昇し、末梢神経の抵抗が高まる。やがて血圧も上昇して高血圧となる。薄味、薄味がキイワードである。
では、減塩のコツ。
【1】当然、塩分の多い食品はバツ。
アジの開きなど干物、めざし、塩鮭。塩漬けのたらこ、いくら。イカの塩辛、はんぺん、かまぼこなどの練り物も塩分が多い。ハム、ソーセージなどの加工食品、漬物、梅干し。スナック菓子も塩分と脂分の宝庫である。
【2】たとえば塩鮭は水に浸け、塩抜きする。ラーメン、うどん、そばの汁やスープは残す。
【3】醤油、塩を極力減らし、代わりに酢、トウガラシ、ハーブなどの香辛料を多用する。
このこころがけだけでも塩分の体内摂取量は劇的に減る。
※週刊ポスト2013年2月15日号