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薬物治療が発達したパーキンソン病 放置で10年後約80%死亡

 パーキンソン病は、中脳にある黒質の神経細胞が変性して脳内のドーパミンが不足、運動機能の低下や満足感を感じにくくなるなどの特徴的な症状を示す病気だ。

 安静時の震え、筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害などの他、抑うつ傾向などの非運動症状が合併する。治療しないと発症から10年程度で約80%が死亡するが、現在はドーパミンを補充する薬物治療が発達し、予後が改善した。しかしドーパミン補充治療をしても、20年経過すると80%に認知症が併発、その後平均3年程で死亡することが分かってきた。

 東北大学大学院医学系研究科、神経内科学分野の武田篤准教授に話を聞いた。

「イギリスのブレインバンクを用いた研究により、発症年齢に拘わらず、亡くなる5年程度前から転倒や幻視が始まり、その後認知症を発症して要介護状態に陥り、平均3年程度で死に至るということが分かってきました」

 現在、パーキンソン病の進行には脳幹から延髄、黒質へと縦方向に病気が進行する流れと、嗅球から桃体を含む大脳辺縁系へ進み認知機能が低下する横方向の流れがあると考えられるようになってきた。横方向の障害でアセチルコリンが減少し、幻視などの精神症状や認知症が起こると考えられている。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2013年2月15日号

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