スポーツ

掛布雅之氏 愛車を野球関連博物館に売り電車で帰宅した過去

 堅く閉ざされた入り口には、1月3日付で「しばらく休館致します」という貼り紙があった。外壁に飾ってあった、名物社長が長嶋茂雄氏ら著名人と写った写真も撤去され、「ミスターの殿堂」は不気味に静まりかえっていた。
 
 福井市内にある「山田コレクション」は、長嶋氏を中心とした野球選手の縁の品々、約5000点を所蔵する博物館である。福井県の不動産王・山田勝三社長(68)が、敷地に建てた時価20億円という豪邸の一部を改造し、2007年4月にオープンした。
 
 巨人軍応援歌の『闘魂こめて』が流れ、背番号3のユニフォームを着たミスターの蝋人形が入館者を迎えるなど、賑やかだった同館。だが、本誌が「閉館の危機にある」との情報を入手して現地を訪れると、冒頭のような様子で、隣接する自宅も事務所も無人。社長の愛車も雪をかぶったままで、携帯も不通になっていた。
 
 後日、社長夫人・美栄さんと連絡が取れた。曰く、社長は重篤な病に倒れ、館の今後については「何も決まっていない」のだという。
 
 同館に飾られていたのは、ミスターが新人王を獲得した時のペナントに始まり、ユニフォームの実物、さらには愛用していた私物の財布、懐中時計、サングラスなど。
 
 一方では、掛布雅之氏や故・小林繁氏など選手たちの“駆け込み質屋”的存在でもあった。
 
「掛布氏は、はるばる愛車を運転してやってきて売りさばき、電車に乗って帰っていった。他には桑田真澄氏の実父が、息子のPL学園時代のグラブを売りに来たこともある。後で桑田氏本人が、展示されているのを見て驚いていた」(ジャーナリスト)
 
 仮に完全に閉館となった場合、これらの貴重な品々はどうなってしまうのか。
 
「グッズは山田社長が全国を回って、“転売しない”条件で個人的に集めたものがほとんど。そのためオークションにかけるのは難しく、他のコレクターに渡ることは考えづらい。しかも玉石混淆。野球体育博物館で厳重に管理されてもおかしくないようなものもあれば、価値があるのか判断がつきかねる物も多い。このままでは大量の不良債権として、貴重な品々まで処分される危険がある」(同前)
 
 貴重な品々の消失と、選手にとっての質屋の閉店。どちらにせよ、球界には大きな痛手となりそうだ。

※週刊ポスト2013年3月1日号

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン