国内

たばこ副流煙で肺がんになる人「4万人に1人」と武田邦彦氏

「職場でも公共の場でもきちんと分煙マナーを守っていたのに、次々と全面禁煙になる。喫煙場所を求めてさまようストレスはピークに達していますよ!」

 今ではすっかり少数派となった愛煙家の叫びは、たばこが諸悪の根源だと信じて疑わない多数派の嫌煙家たちには遠く届かない。

たばこを吸わなくても喫煙者の吐き出す煙(副流煙)によって健康被害を受ける――。いわゆる「受動喫煙」が日本で騒がれ出したのは、1999年にWHO(世界保健機関)が日本で国際会議を開いて「たばこ規制枠組条約」に調印させたことに端を発する。

 その後、2003年に国が医療制度改革の柱として制定した「健康増進法」の中に、受動喫煙の防止が謳われたことから、自治体をも巻き込んで異様なほどの“たばこバッシング”が始まった。

 2010年に飲食店などを対象とした受動喫煙防止条例を定めた神奈川県に続き、兵庫県が2014年より民間施設で同様の条例を施行する。大阪府に至っては飲食店や宿泊施設などについて「建物内全面禁煙の推進」を掲げた条例案をまとめ、府民の意見を募ったばかりだ。

 実は1981年に世界で初めて「受動喫煙=悪」との説を唱えたのは、当時、国立がんセンター疫学部長だった平山雄氏(故人)である。しかし、いまだに嫌煙家が依拠するこの“平山論文”の信憑性に首を傾げる研究者も多い。

『タバコ有害論に異議あり!』の著者で、独協医科大学放射線科助教の名取春彦氏もその一人。

「彼は、夫が喫煙・妻が非喫煙の場合、夫・妻とも非喫煙の場合より妻の肺がん死亡率がたまたま高く出たことに目をつけ、受動喫煙が原因だとしました。しかし、この論文では夫の死亡率が無視されるなど、存在するはずの8つのケースから都合のよいデータだけを選んでいるため、客観性と公平性が担保されていないのです」

 平山論文と似た疫学調査は2000年代になってからも度々出されている。だが、「たばこを吸う夫と一緒に住んでいる妻が、肺がんで死ぬリスクは約2倍」といった数字だけが一人歩きして、明確な科学的根拠は示されていない。

 それでは、副流煙の害はどの程度なのか。中部大学教授の武田邦彦氏は、「物理的な計算」から興味深い数字を導き出している。

「たばこを吸わない人が喫煙者と6畳の部屋に1時間いても、濃度が薄まることで、たばこを吸う量は直接吸う人の約1000分の1になります。また、いろいろなデータから見る副流煙の危険度は、たばこを吸わない人は吸う人の40分の1程度。たばこを吸って肺がんになる人は1000人に1人という調査が出ていることと照らし合わせると、副流煙で肺がんになる割合は、4万人にひとりということになります」

 もちろん武田氏も科学的な根拠を持っているわけではない。しかし、「科学的に受動喫煙の害が証明されない限り、喫煙者から“心の健康”を満たすたばこを取り上げることはできない」(武田氏)と主張しているのだ。

 前出の名取氏は、こんな見解を述べる。

「肺がんに限らず、多くの病気は社会的ストレスが重要な要因であることに疑いの余地はありません。夫婦揃って喫煙者の肺がん死亡率は、受動喫煙させる側やさせられる側の夫婦よりも低く、ともに非喫煙者に近いのではないかと予想します。

 受動喫煙問題は、受動喫煙そのものの健康被害ばかりが強調されますが、本当は我慢を強いられてきた結果の健康被害なのかもしれません。そう考えると、喫煙者もたばこの煙が嫌いな人たちに迷惑をかけないように分煙を徹底し、お互いに満足する環境をつくらなければなりません」

 科学や医学の数値だけでは測れない健康まで煙に巻いてしまえば、愛煙家の肩身は狭くなる一方だろう。

トピックス

警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン