赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”の実態は…(写真はイメージ)
2年前、インターネット上に突如アップされた漫画『脳外科医 竹田くん』には、架空の病院・赤池市民病院に着任した脳外科医の竹田くんが、立て続けに医療事故を起こしてゆくさまや、それを止めることができないばかりか、隠蔽しようとした病院の腐敗した体質が描かれている。
2025年2月、作者が声明文を発表。作者は『脳外科医 竹田くん』のモデルとなった病院である兵庫県の赤穂市民病院で起きた医療過誤の被害者の親族であることを公にした。
〈この漫画自体はフィクション(架空世界で展開される物語)ではあるものの、医療事故、及び医療事故にまつわるエピソードは、赤穂市民病院の医療事故事件と病院内のトラブルをモチーフにしています〉(『脳外科医 竹田くん』作者声明文より)
漫画は2023年7月以降、続きが発表されていない状態であるが、リアルでの赤穂市民病院の医療事故については、状況が刻々と変化し続けている。複数の裁判が続いている現在地を整理する。【前後編の前編】
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兵庫県赤穂市にある赤穂市民病院では、2019年9月18日から翌年2月27日にかけて8件の医療事故が相次ぎ、3名の患者が死亡した。これらの事故には、2019年7月から脳神経外科に在籍していた松井宏樹医師(47)が関わったとされる(医師は2021年8月末に依願退職)。
死亡事故のうち、2019年9月26日は90代女性に血栓回収術を実施。翌月に下血し、呼吸悪化後に死亡した。翌年2月19日には70代男性に対して膠芽腫腫瘍切除術後、広範囲の脳梗塞が認められ、昏睡状態(重度意識障害)となり、死亡退院に至った。その約1週間後、80代女性に対する血栓回収術中に出血。女性は昏睡状態となり、3月に死亡した。
80代女性に対する手術の直後、赤穂市民病院の院長(当時)が松井医師に手術等の禁止を指示。ところがそれ以後も松井医師は手術等に関わり、再度、禁止を命じられるなどしている。
