ビジネス

【ドル円週間見通し】朝鮮半島の地政学リスクは円売り要因に

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、3月11日~3月15日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 先週のドル・円は、11~12日の参議院での日銀正副総裁候補の所信聴取、朝鮮半島の地政学的リスクとイタリア政局のリスクを見極める展開となる。イタリアの政局に対する懸念は円買い材料、日銀正副総裁人事案が国会同意の公算が高まれば円売り材料、3月期末に向けたリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)は円買い材料、ヘッジポジションの買戻しは円売り材料となる。

【米韓合同軍事演習】(11日)
 北朝鮮は、11日から予定されている米韓合同軍事演習が実施された場合、休戦協定を白紙化すると宣言した。北朝鮮は、両岸に飛行禁止区域と船舶航行禁止区域を設定し、自衛のために米国に対する核先制攻撃権を行使する、と警告していることで、朝鮮半島の地政学的リスク(円売り要因)に警戒する展開となる。

【参議院での日銀正副総裁候補の所信聴取】(11~12日)
 日銀新体制が3月20日に発足した後、臨時・緊急日本銀行金融政策決定会合を開催し、異次元金融緩和を決定するとの思惑が広がっており、円売り要因となっている。

【イタリア議会召集】(15日)
 イタリアの議会が召集される15日に向けて、イタリアの政局混迷が懸念されることで、リスク回避の円買いが強まることが予想される。第3勢力の五つ星運動のグリッロ氏が、信任投票で棄権すれば、ベルサニ民主党政権が誕生する可能性が高まり、リスク選好地合いの円売り要因となる。

・シナリオ1は、実務型内閣だが、イタリア国民はモンティ実務型内閣を拒絶している。
・シナリオ2は、挙国一致内閣だが、議会運営の停滞が懸念される。
・シナリオ3は、再選挙の場合で、リスク回避の円買い要因となる。

【3月期末に向けた本邦実需筋の動向】
 本邦機関投資家によるリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)が優勢となれば、円買い要因、円高ヘッジポジションの手仕舞いとなれば、円売り要因となる。本邦輸出企業が80円台の円高水準での輸出予約を買い戻す動きに出た場合、円売り要因となる。

・3月11日~15日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)2月小売売上高 -- 13日(水)日本時間午後9時30分発表
・予想は、+0.5%
 参考指標の2月ICSCチェーンストア売上高(ウォルマート除く)は、前年比、前月比で増加。ガソリン価格は上昇しており、ガソリン・スタンド売上の増加要因。2月の国内自動車販売台数は前月比-9万台。チェーンストアの売上高増加を考慮すると、コンセンサスは妥当か。

○(米)10-12月期経常収支 -- 14日(木)日本時間午後9時30分発表
・予想は、-1128億ドル
 既発表の10-12月期の貿易赤字は7-9月期との比較で縮小しているが、所得収支の増減次第では、経常赤字額はやや増大する可能性がある。市場コンセンサスはおおむね妥当か。

○(米)2月消費者物価指数 -- 15日(金)日本時間午後9時30分発表
・予想は、全体の数字は前年比+1.8%、コアは前年比+2.0%
 2月ガソリン価格は前月比+10.2%程度(季調済み)で、CPI全体には押し上げ要因となるため、消費者物価指数は前月比ベースで上昇する見込み。コアの部分では、先行指標となるPPIの発表を待つ必要があるが、PPIは前月比・前年比とも上昇する見通しとなっており、コアCPIの上昇率は1月実績を上回る可能性がある。

○(米)2月鉱工業生産・設備稼働率 -- 15日(金)日本時間午後10時15分発表
・予想は、鉱工業生産は+0.3%、設備稼働率は79.3%
 2月ISM製造業の「生産DI」は57.6と1月53.60から上昇しており、鉱工業生産は改善が見込める。ただし、総労働時間に顕著な変化はみられないため、設備稼働率は若干の上昇にとどまる見込み。

 主な予定は、11日(月):(日)1月機械受注、12日(火):(日)2月国内企業物価、(米)2月財政収支、13日(水):(米)1月企業在庫、14日(木):(米)2月生産者物価指数、15日(金):(米)1月ネットTICフロー合計、(米)3月ミシガン大学消費者信頼感速報

【予想レンジ】
・ドル・円93円00銭~98円00銭

関連キーワード

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト