ライフ

みうらじゅん氏 理想的死に方“ピンピンコロリ”のウソ暴く

 みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイ ブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある。週刊ポストに連載する『死に方上手』で同氏は、理想的といわれる“ピンピンコロリ”に疑問を呈する。

 * * *
“ピンピンコロリ”という言葉がある。年をとってもピンピン長生きをして、病気になったり寝ついたりせず、ある日突然コロリと逝ってしまう死に方のことだ。

 家族に介護などの負担などをかけることもないことから、そういう死に方が理想的と考える人が多いそうだ。長野県佐久市の“ピンコロ地蔵”をはじめとして、全国各地にはピンピンコロリを祈願する場所も人気のスポットなんだとか。

 確かに“ピンコロ”と聞くと、耳障りはポップで明るい。でもピンコロが実際にはどんな死にざまなのか考えたことはあるだろうか?
 
 百歳を超えてピンピンの現役医師・日野原重明氏があるコラムで解説していたが、ピンコロにもっとも近い死に方は、心筋梗塞などの心臓疾患による突然死なのだそうだ。
 
 ピンコロ=突然死。いや、そりゃそうなんだろうと漠然と思っていても、実際に現実を突き付けられると動揺してしまう。そうか、ピンコロって突然死なんだよね。でもこのことをピンコロ希望者は、本当に理解しているだろうか?

 確かに、突然死んじゃうわけだから、家族に介護などの迷惑をかけることはない。でも、突然死ですよ! 2 日でも3 日でも危篤なり危ない状況が続けば、親類縁者も病床に集まるワケじゃない? そこで、最後のお別れ的な時間が作れるし、死に水をとってあげたりすることもできる。
 
 ところがピンコロじゃそれもできない!

「死ぬ前に、もう一度会いたかった!」そんな知り合いが、ピンコロでは必ず一人は出てくるのではないか? 
 
 その一人にしてみれば、「なんでピンコロなんだ!?」と、突然死を恨むに違いない。それでもピンコロ死がいいというのだろうか?

※週刊ポスト2013年4月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン