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中国人民解放軍兵士 退役後は武装して強盗になることが多い

 世界最大の陸軍を擁する人民解放軍。巨大なGDPとともに、中国の力の源泉とされる。だが、230万人と言われる兵士たちのほとんどはとうに戦う気をなくしているという。ジャーナリストの富坂聰氏がレポートする。

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  超大国アメリカに追いつけ追い越せと、人民解放軍の宇宙開発、ミサイル部門の強化は凄まじい。その中心的役割を担う第二砲兵部隊(二砲)には全国防予算の12~15%が配分されている。人材面でも共産党への忠誠心の高い超精鋭を取り揃えている。大いなる脅威だが、二砲の兵士は全体のわずか4%に過ぎない。全体を見れば、その他の約9割は堕落しきっており、末端まで機能しないだろう。

 その典型が人民解放軍の悩みである「小皇帝」問題だ。一人っ子政策で甘やかされて育った彼らは厳しい訓練に耐えられないとたびたび指摘されてきた。その堕落ぶりはいよいよ加速している。

 そもそも入隊時から賄賂が横行している。就職難の中国では、人民解放軍は数少ない就職先のひとつだ。そこで何人もの人事担当者に賄賂を渡す。カネは親が工面することが多い。入隊が決まっておしまいではない。

 楽な部隊、優しい部署に配属してもらうため、さらに賄賂を渡す。たいして苦労もせず、さまざまなライセンスが取得できる技術職や内勤が人気だ。そこで技能を習得した後は晴れて民間企業に転職する。彼らには「国防」の意識などまったくない。あるのは「就職」しているという意識だけだ。

 しかし、そのような賄賂を工面できるのは一部に限られる。多くは寒村からやってくる貧困層だ。彼らも国を守るためではなく食うために入隊したという点では同じだが、きつい最前線に配属される。軍はその性格上、常に新陳代謝を繰り返して若い兵士を揃えておく必要がある。

 そのため、兵士の多くは長くて10年程度で退役させられる。だが、リタイアして故郷へ帰っても職がない。武器を扱いなれた彼らは武装して強盗団になることが多い。ある共産党幹部は「国費を使って犯罪者を養成している」と自嘲気味に語っていたほどだ。

※SAPIO2013年6月号

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