国際情報

ボストン爆破テロ 犯人弟が喋れなくなったことに事情通疑念

 ボストンマラソンのゴール付近で発生した爆破テロ事件のタメルラン・ツァナルエフ容疑者とジョハル・ツァナルエフ容疑者。兄弟の背後で米CIAが活動に関与していたとの説も出ているが、そもそもこの事件には、不審な点があまりにも多い。外務省国際情報局で局長を務めたことのある孫崎享氏はこう指摘する。
 
「テロに使用された爆弾には圧力鍋や釘などが使われていて、一見すると素人の犯行くさく見えるかもしれないが、実際にはむしろより巧妙といえる。鍋や釘は武器と違ってどこでも手に入るから入手経路を特定しづらく、追跡を不可能にしているんです。犯行時間についても、マラソンのトップグループがゴールした後、どんどん人が増え、警備も散漫になる時間帯を計算して狙っている。
 
 ところが、これだけ周到に準備した形跡があるのに、なぜか安全に逃げるルートを確保しておらず、監視カメラに写ってしまい、特定されることになった。本当にこの兄弟だけで計画して実行したのか、何か別の意図や思惑が働いていたのではないか、疑問は尽きませんが、警察との銃撃戦で兄は死亡し、弟は喉に傷を負って言葉を話せなくなっている(供述は筆談)。米当局はこの2人に話してもらっては困ると考えたのではないか、と勘繰りたくもなります」
 
 兄とは別の意味で謎が多いのが弟のジョハル容疑者で、テロ支援組織との関わりは確認されておらず、通っていたマサチューセッツ大学には友人がたくさんいて孤立していたわけではない。なぜこんな凶悪な犯行を手伝ったのか、いまだ不明なのだ。
 
 報道によると、テロ事件が起きた4月15日からFBIが写真を公開した18日まで、ジョハル容疑者は普段通りに大学の授業に出席し、17日夜には学内のサッカー仲間とのパーティを楽しんでいた。テロ発生から約5時間後の15日午後8時ごろ、ジョハル容疑者はツイッターで「都市の中心には愛情がない。みんな安全でいて」と発信し、17日午後1時すぎには「自分はストレスがないタイプ」とつぶやいていたという。
 
 カモフラージュのためかもしれないが、あまりにも悠然としすぎている。同じ寮のカザフスタン人が爆弾製造の証拠を隠滅したとして逮捕されているが、結局、爆弾製造の物証は現時点でみつかっていないのである。

※週刊ポスト2013年5月24日号

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