ビジネス

だし巻きから松阪牛まで「高級缶詰でプチ贅沢」が流行る事情

 缶詰人気が続いている。新たな缶詰が次々と発売され、缶詰をアテに飲む缶詰バーが登場。缶詰を使ったレシピ本が出版されるなど、缶詰を取り巻く環境が熱い。景気低迷で家飲み志向が強まるとともに「100円缶詰」ブームが話題となったが、最近は、もう少し価格帯が上の「高級缶詰」や「グルメ缶詰」にも人気が集まっているようだ。

 京都の老舗卵焼き店監修の「だし巻き」(4切れ、550円)、「缶つま 厚切りベーコン」(399円)、カキの薫製「缶つま かき」(525円)――これらは、東急ハンズ名古屋店で開催されている「プチ贅沢 おつまみ缶詰万博」(6月12日まで)での人気商品の一部。同店には、国内外の150の缶詰が勢ぞろいした。

「缶つま」とは、食品・酒類卸売大手の国分が2011年から販売を開始した、“そのままおつまみになる缶詰”「K&K缶つま」シリーズ。販売開始年は14種類だったが、現在は、47種類まで増えた。焼き鳥、牛すじこんにゃくといった日本酒のお供から、アンチョビポテト、オイルサーディンなど、ワインのつまみまでがそろう。中心になるのは300円~500円前後の商品。さらに「松阪牛大和煮」や「三重県産あわび水煮」など、5000円以上する高価格帯の「缶つま極(きわみ)」も展開する。

 国分によると、この缶つまシリーズ、今年1~4月期の売り上げは、前年同月比250%を達成した。好調にしたがい、取り扱い店舗も増えているという。「東急ハンズさんのほか、ヴィレッジヴァンガード(雑貨なども扱う書店)さんなど、食料品店ではない店舗にも置いていただけるようになっています」(担当者)。女性をメインターゲットとした健康志向型店舗・ナチュラルローソンでも販売されるなど、オシャレな缶詰として、認知度を上げている。

 定番商品の“高級版”も人気だ。はごろもフーズが販売する「シーチキン 炙りとろ」は、テレビで紹介されたこともあり、楽天では一時的に品切れするほどの人気に。価格は24缶で11040円、一缶あたり約458円で、ワンランク上のシーチキンが味わえる。

 缶詰ブームの高級化について、日本フードアナリスト協会所属のフードアナリスト、重盛高雄氏はこう分析する。

「東日本大震災後、保存食として缶詰が見直され、缶詰の人気が高まりました。缶詰がよく食べられるようになると、手軽で安いだけでは物足りなくなる。美味しいものが求められるようになってきたのです。プチ贅沢といいますか、少しお金を出してもいいものが欲しいというニーズは、缶詰に限らず、ほかの食品にも見られる傾向です。たとえばセブンイレブンの独自ブランドの食パン『セブンゴールド 金の食パン』(1斤6枚入りで250円)が好調ですよね。

 もともと缶詰の需要には、サバやシーチキンなど、変わらない味を求めるニーズと、新しい味を求めるニーズの二つがありますが、いずれも、質の良さが求められるようになっています。とりわけ最近は、消費者に“新しい発見”への欲求が高まっていて、ご当地缶詰などが人気です。

 昨今、広がっている“個食”にも缶詰は合っている。お酒のつまみだけでなく、おかずになる缶詰も増えている。惣菜と違って、日持ちもします。まだまだ缶詰人気は続くのではないでしょうか」

関連キーワード

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン