国際情報

中国「コメ備蓄庫でネズミ大繁殖」が食肉偽装の遠因との証言

 中国の食をめぐっては、まさに信じられない事象が次々に表出する。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国を発信源とした食品偽装・毒食品問題は依然衰えを見せていない。

 先月、香港とマカオを訪れたが、そのときに目立ったのは「水客」と呼ばれる違法な運び屋たちの存在だった。

 水客は香港ならば深圳へ、マカオならば珠海へと品物を運ぶ役割をしている。いずれも背に負うのは密輸品である。彼らは中国との間を自由に行き来する身分があるため、それを利用として手荷物として密輸を請け負うのである。一度に大量の荷を背負って行進するため、その姿から「蟻の行列」と揶揄されることもある。

 最近まで、彼らが最も多く運んだのは乳幼児の粉ミルクであった。毒入り粉ミルク騒動が収まっても国産品に対する信用が回復しないなか、高くても香港からの粉ミルクを求めるニーズが減ることはなく、直近の四半期だけでも24万トンもの粉ミルクが大陸に持ち込まれたとも言われている。

 逆にこの現実は香港の人々には大きな負担となった。大陸向けの業者が高値で買い取るのを当てにした香港の業者が、地元の人々売り渋るという現象も生んだからだ。そのため粉ミルクの持ち出しは一人2缶までとの制限が付けられた。そのため規制をかいくぐる意味で水客が繁盛したというわけだ。

 だが、5月に入り水客の背負う品物に大きな変化が現れた。粉ミルクから米が中心になった。

 理由は中国国内で流通するコメに、古くなった大量の備蓄米が混入されていたという問題が発覚したからだ。備蓄米は廃棄処分するもので、当然のことながら防かび剤など強い薬が混じっていた。

 中国では「さもありなん」といったところだが、この騒動がもう一つ別の問題を人々に思い起こさせることになったという。

 それが少し前に話題となった食肉偽装の問題である。しゃぶしゃぶ用の羊肉が実はネズミやキツネであったという例の報道だ。

 衝撃的なニュースだったが、現実にネズミを加工する手間やそれほど大量のネズミがいるのかなど疑問も残った。それについて広東省のメディア関係者はこう説明する。

「実は国家が管理するコメの備蓄倉庫は大のネズミの繁殖基地になっているのです。そこでは丸々と太った子豚のようなネズミが多く、大量に処分してもすぐに増えてしまって困っていた。そこに目を付けた食肉加工業者が入り込んだという図式のようです。処分する方も死骸の捨て場に困っていたので双方がウインウインとなったのです」

 あまり考えたくはないが、やはり本当のことのようだ。

関連キーワード

トピックス

新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン