芸能

篠原涼子のラスト・シンデレラ 女たちの熱い支持集める理由

 作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏によるドラマ時評。今回俎上にあげたのは、近年のドラマでは非常に珍しい「右肩上がり」を記録し続けるあの作品である。

 * * *
 木曜夜10時、篠原涼子主演のドラマ「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系)。彼氏いない歴10年、仕事に生きる39歳「おやじ化した女子」が、二人のイケメン男の間で心を揺らす、ちょっと切ないラブコメディ。

 このドラマ、7週間続けて視聴率がアップし「民放の連続ドラマでは初の快挙」と話題を振りまいています。今どき右肩上がりで着実に数字が伸びるなんて珍しい。それだけ「広い共感を得ている」証でしょう。

 そしていよいよ6月20日木曜日が最終回。ラストに向かって盛り上がるか、と期待したわりに……先週の第10話の内容は、ご都合主義的な残念な展開でした。

 突然、チンピラがヒロイン・桜にからんでくる。そこへ、身をなげうって助けに入った凛太郎(藤木直人)。桜の心は凛太郎へ傾く。ところが、凛太郎にNYへの転勤命令が。彼の背中を追いかけNYへ行くのか、それとも15歳年下の元恋人・広斗(三浦春馬)を選ぶのか。究極の選択を迫られる桜……ねっ。既視感ありありの、古色蒼然としたエピソード集にびっくり。それでも、最終回まで見届けよう、と気持ちが揺るがないから不思議です。

 このドラマ、なぜ視聴者を惹きつけるのか。熱い人気を集めているのか。考えてみると……。

 広斗を演じる三浦春馬の新鮮な魅力もたしかにありました。が、やはり全編を支えているのは、篠原涼子の「ズバぬけた芝居勘」ではないでしょうか。

 桜は、仕事しすぎでオス化し髭が生えてくるような「おやじ女子」。淡泊で切れ味のある性格、べらんめえ調の弾丸おやじトーク。おやじセリフがすごい速度で泉のように湧き出てくる篠原涼子。役になりきる憑依力には脱帽です。

 現実の世の中を見回すと……桜のように仕事をバリバリこなす女子はたくさんいる。彼女たちは、ある武器を身につけている。それは、ドライな性格です。桜のような、サバサバ感です。仕事で次々に案件をこなし物事を着実に進め、トラブルが生じても冷静に対処し、人間関係もぐじゅぐじゅしない。そんな風に、感情をコントロールする術。

 本気で仕事をするには、その術が無ければうまくいかない。だからあえて、自分をドライモードに切り替える。しばし「女子」を封印して。働く女性たちの多くは、そんな操作術を身につけ武器にしつつ、今日もバリバリ戦っているのではないでしょうか?

 でも、それだけでは終わらせたくない。時に、甘い夢を見たり感情のままに叫んだり、心臓がドキドキするような純な自分でいたい。と、引き裂かれ続けている。

「ラスト・シンデレラ」のヒロイン・桜は男的であり女的。サバサバしていて、かつ、グジュっ。そんな「両性具有性」の中で格闘しています。多くの女たちが、主人公・桜の中に自分自身の姿を見つけた--このドラマが熱い支持を集めた理由がそのあたりにありそうです。

 ドラマを見ていてふと、気付いたこと。

 ヒロイン・桜の人物像って、すでに篠原涼子自身が何年も前から先取りしていたのでは?

「ヤバイ、ぐっときた」

 オリックスVIPローンの、あのCMシリーズで。

 バリバリ仕事をこなすカッコいいOL。ところが。さりげない優しさを不意に上司に見せられて、ぐっときてしまう。キャリアウーマンの中に、カワイイ女が覗く瞬間を描いたあのCMです。デキル人とカワイイ人、両極をやらせたら篠原さん以上に上手い役者はいないはず。

 ついでに、「ラスト・シンデレラ」の篠原涼子に「ヤバイ、ぐっときた」という隠れファンを発見しました。それは、「おやじ女子」にいたく共感を重ねる中高年のおやじたち。これはフジテレビにとって予想外の収穫と言っていいでしょう。

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
晩餐会に出席した真美子さんと大谷(提供:soya0801_mlb)
《真美子さんとアイコンタクトで微笑み合って》大谷翔平夫妻がファンを驚かせた晩餐会での“サイレント入退場”「トイレかなと思ったら帰っていた」
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン