ライフ

イボ痔の手術は「結紮切除術」が一般的 ALTA療法にも注目

 いまや日本人の「国民病」ともいえる「痔」は生活習慣病のひとつでもあるため、生活態度を改善し、自然治癒力を高めると、自然に症状が改善するというケースもある。ただし、症状が出たなら、軽く考えず、専門医に診てもらうことが重要だ。
 
 また、痔による痛みと出血は、生活の質を大幅に低下させてしまう。それを避ける意味で、病根を断つ手術は患者にとって有意義な選択肢となる。
 
「マリーゴールドクリニック」院長の山口トキコ医師はいう。
 
「痔核(イボ痔)の患者さんで手術までする方は全体の1~2割程度です。特に重度と診断された場合は手術の必要があります」
 
 かつては直腸から患部にいたる広範囲を切除する「ホワイトヘッド法」や強力な薬剤で患部を壊死させ取り除く方法などがとられた。だが、こうした治療法は、激しい痛みや完治までの長い日数、術後に肛門が緩んでしまうといった弊害も多かった。
 
 現在、痔核の手術は「結紮(けつさつ)切除術」が一般的だ。ニコタマ大腸・肛門クリニック院長の黒田敏彦医師に聞いた。
 
「外痔核、内痔核で行なわれる手術です。痔核に血を送る血管を糸で縛り、痔核を根元から切り取ります」
 
 結紮切除術は痔の完治が期待でき、再発の可能性も少ない。手術時間も20分程度ですむ。費用は、保険適用で自己負担は2万5000円ほどだ。
 
 ここ数年、注目を集めているのが「ALTA(ジオン4段階注射)療法」だ。山口医師が語る。
 
「基本的には、肛門の中の内痔核が対象です。ジオンとは硫酸アルミニウムカリウムが主成分の薬品名です。この薬剤を痔核に直接注射することで、痔核の血流を止めて根治を目指します。その際、十分に薬液を行きわたらせるため、4回に分けて注射します」
 
 排便時の出血が治まり、痔核が縮小して、飛び出すこともなくなる。
 
「縮んで小さくなった痔核は、やがて柔らかい正常な組織に近くなります。肛門にメスを入れないので負担が少なく、肛門機能を損なわない、痛みが手術に比べて格段に小さいなどのメリットがあります」
 
 加えて、施術時間が約10分と短いうえ、その日に自宅へ戻れるという利点もある。ちなみに、「ALTA療法」は保険適用で自己負担は2万円程度だ。
 
 ただ、この療法は的確に痔核へ注射する技術が必要で「どこの病院でも受けられるわけではなく、化膿や炎症、出血、アレルギーを起こすという副作用も否定できない」(山口医師)という面もある。切除ではないから、100%根治といかないところも踏まえておくべきだ。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン