ビジネス

選挙広告 17日間で100億円つぎ込まれ大メディアにとり特需

 参議院選挙について連日大きく報道されているが、新聞・テレビにとってこうした国政選挙は大のかき入れ時だ。政党や候補者の選挙広告やCM、投票を呼びかける選挙公報まで巨額の広告費が税金からつぎ込まれるからだ。新聞・テレビが必死に奪い合うのが、政党・候補者の選挙広告費だ。

 公職選挙法では、選挙期間中、候補者は公選ハガキの郵送代やポスターの印刷代、看板制作費から選挙カーのレンタル料、ガソリン代などの他に、早朝や深夜にテレビで放映される政見放送と、新聞に5回(1回紙面2段、幅9.6センチ)まで広告を掲載できる。これらは「選挙公営」と呼ばれ、全額税金で負担される。

 新聞広告掲載料の基準は1回分で50万~220万円と社によって差があるが、どの新聞に広告を掲載するかは政党本部や候補者(無所属の場合)が決めるため、各社は資料を制作して政党や候補者に売り込みを掛けるのである。

「政党本部には代理店を通じて営業するが、無所属候補はどの新聞に広告を出すか本人が決める。そのため各社の担当者は公示日のうちに立候補を届け出た無所属候補に直接売り込みを掛ける」(選挙コンサルタント)

 今回の参院選の選挙公営の予算総額は前回参院選より2割多い約66億円で、新聞広告費だけで約23億円の予算が組まれている。

 また、選挙公営とは別に、総務省(選挙管理委員会)が「投票に行こう」と呼びかける選挙広報の広告予算が約4億5000万円ある。

 さらに政党が独自に出す新聞広告やCMがある。各党の政治資金収支報告書によると、前回の参院選(2010年)の年には、宣伝事業費や選挙宣伝費として民主党が約48億円、自民党は約21億円を使った。

 今回は政権に復帰した自民党と民主党の選挙宣伝費が逆転している可能性が高いが、前回に近い金額が使われていると見られる。政党独自の宣伝費といっても、その原資は政党交付金であり、やはり税金なのだ。

 もちろん、広告を出すのは自民党や民主党だけではない。公明党、社民党なども広告費を投入するため、そうした新聞広告やテレビCMなど選挙宣伝費の総額は100億円近くにのぼり、しかも、その大半は公示日以降の17日間の選挙戦期間中に集中的に使われる。選挙は大メディアにとって、アベノミクスの比ではない大特需なのだ。

※週刊ポスト2013年8月2日号

関連キーワード

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン