ビジネス

4月暴落の金価格 今後10年間のスパンなら倍増あると専門家

 今年に入ってから激しい乱高下を演じている金相場だが、その先行きはどうなるのか、金市場に詳しい豊島逸夫氏が解説する。

 * * *
 短期的には下落が続いている金相場だが、 今後10年という長い目で見れば、私の見方は「超強気」である。控え目に見ても、この先10年間のうちに金価格は現在の倍に当たる1オンス=3000ドルまで達したとしても何ら不思議ではないだろう。
 
 何しろ金の生産は今後減少していくことが確実視されている。ここから生産量を増やしていくには、海底まで手を伸ばすか、リサイクルを増やすほかない。だが、リサイクルには限界があり、海底から掘り起こすには莫大なコストがかかる。

 供給の増加が見込めないなか、インドや中国をはじめとする新興国の成長が進めば、輪をかけて金買いが加速するのは必至の情勢だ。供給が減って需要が増える以上、金価格は上がるしかないのである。

 確かにこの先2年ほどは金投資は我慢を強いられるだろう。その間に大儲けしたいなら株式投資にでも励んでいた方がマシかもしれない。しかし、その先まで見通せば、金の輝きは失われるどころか、まずます輝きを増そうとしている。その時期は、早ければ15~16年にも訪れるかもしれない。そう考えていくと、ここで金を見限るのはいかにも早計といえるだろう。

 ましてや、われわれ日本人は世界的にも有利な立場にあることを忘れてはならない。ドル建てと円建ての金価格の比較チャートを見れば一目瞭然だが、ドル建てでは下落傾向にあるのに対し、円建てでは上昇傾向にある。とりわけ今年2月にはドル建て金価格が切り下げるなか、円建て金価格は5300円台という過去最高値を記録したほどである。

 いうまでもなく、これは円安の恩恵にほかならない。海外ではドル高に伴って金価格そのものが値下がりし、いわば「下げやすく、上げにくい」相場となっている。一方、国内ではそもそもの金価格が上がらずとも、円安によって相対的に円建て価格が上昇しており、いわば「下げにくく、上げやすい」相場となっているのだ。

 このような「潮目の変化」に気づくと気づかないとでは今後大きな差が生じるかもしれない。この先さらに円安が進み、ドル建ての金価格も上昇に転じれば、われわれ日本人はダブルでその恩恵を受けることまで期待できるに違いない。

 そのようなシナリオを想定すれば、金への投資方法はさほど難しくない。安値圏にある今のうちにコツコツと買い集めればいいのだ。金価格の大幅な上昇が見込めない今こそ、「純金積立」を始めるチャンスといえるだろう。

 そして、「純金積立」には毎月一定額を積み立てるだけでなく、ここぞという時にまとまった資金で買い増すことができる「スポット購入」という手もある。この先、米国が金融引き締めに舵を切るなどしてドル建て金価格が1300ドルを割り込むような展開になろうものなら、むしろ強気になって買い進めることをお勧めしたい。地道に蒔いた種は、やがて大きな実を結ぶはずである。

※マネーポスト2013年夏号

関連キーワード

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン