ビジネス

子供の炒飯離れが進む 猛暑原因で夏休み昼食の定番に陰りも

 子供たちの夏休みが始まり、平日の昼間から楽しそうに駆け回る彼らの姿を見かけるようになった。そして、給食がない夏休みの昼食の定番といえば炒飯だ。ご飯にハムや野菜などが入った炒飯は、多くの人にとって母親の味のひとつだろう。ところが、近年は食卓への登場回数が減少傾向にあるようで、7~8月にもっとも売れる「炒飯の素」市場に変化が表れている。

 ご飯と一緒に炒めるだけで炒飯が出来上がる「炒飯の素」市場は、外食より家庭で食べる内食回帰などの傾向が強まったこともあり、手堅い市場とみられてきた。東日本大震災の後、長期保存が可能で簡単に調理できることから大きく人気を回復したが、これは仮の需要だったようで昨年は大幅に落ち込み、ドライタイプでは前年比約8%減の74億円にとどまっている(2013年7月3日付 日本食糧新聞)。

 日本人のコメ離れ傾向が止まらないことや、新たな価値観を打ち出した新商品の登場がないことから、炒飯の素市場は今年も縮小すると見込まれている。

 猛暑になるとご飯食が敬遠される傾向があるのは確かだが、炒飯の登場回数が減っているらしいいま、子供たちは夏休みの昼ごはんに何を食べているのだろうか。「なるべく野菜をとれるように手づくりのものをと考えても、暑すぎると料理をしていられない」というのは、小学生の子供がいる30代主婦だ。

「炒飯ならたいてい食べてくれるし、具や味付けを変えれば二日続けて出しても嫌がられないから助かるメニューです。でも、気温が35度を超えるような猛暑日になると、火を使う料理をすると考えるだけで憂鬱になります。そうなると、昼食は料理をする私も暑くならずにすむものになりがちです」

 実際にスーパーの食品売り場をみると、火を使わずに調理できる食品が増えているのがわかる。

 電子レンジだけで調理が可能なものが多い冷凍食品は、2008年の中国産冷凍餃子中毒事件のあと消費量が少し減った時期もあったが、基本的には長期にわたって消費が増加し続けている。昨年の家庭用冷凍食品の生産量は582,208トン、金額は2,689億円(103.3%)となり、数量、金額ともに過去最高を記録している(一般社団法人日本冷凍食品協会調べ)。

 最近では、冷凍食品をテレビ番組などで美味しさを基準にとりあげる機会が増え、自宅で本格的なプロの味が楽しめる食品というイメージも浸透した。パッケージごと電子レンジに入れて加熱するだけで完成する商品もあり、簡便さもすすんでいる。暑さで傷む心配もないし、子供だけでも簡単に調理できるため、常備する家庭も多い。

 また、鍋やフライパンで加熱するものがほとんどだったチルド食品も変化している。電子レンジやオーブントースターだけで調理できる麺類や総菜パンがずらりと並び、お湯を沸かして茹でる手間が敬遠されていたチルド麺も、水でほぐすだけで手軽に食べられる流水麺が話題だ。25年前に開発されたロングセラー商品だが、2009年から4年連続で伸長、CMで認知が浸透していることもあり、今年の夏も昼ごはんの食材として活躍しそうだ。

 確かに、暑すぎると火を使う調理やご飯食が敬遠される。そのため、電子レンジだけですむ冷凍食品や、水でほぐすだけの麺類に人気が集まるのも納得がいく。便利で美味しい麺類だが「その一品だけで食事を済ませてしまう人が多いのが気になります」と、薬剤師の資格をもつ料理研究家の吉田三和子さんはいう。

「麺類だけで食事を済ませてしまうとタンパク質が不足します。冷凍食品でもお惣菜でもよいので、タンパク質がメインのものを何かひとつ付け加えましょう。わざわざ増やすのが面倒なときは、煮物やサラダの残りに、冷凍でよいので枝豆を加えてください。暑くなる前、朝のうちにやっておけば、お皿に出すだけでタンパク質が摂れるお昼のおかずになります」

 美味しいものをしっかり食べて、子供たちには楽しい夏休みを満喫してほしい。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン