ライフ

口に合わない郷土料理「食べる代わりに質問」で埋め合わせ可

 お休みの帰省シーズン。だが夫の実家で、食べられない郷土料理を出されたときにどうすればいいのか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が伝授する。

 * * *
 今年も「お盆」がやってきます。高速道路の渋滞や列車の混雑に立ち向かって、自分の実家や配偶者の実家に帰省する方も多いでしょう。自分の実家はさておき、配偶者の義実家では思いがけないアクシデントに見舞われがち。近辺に観光に出かけたり、配偶者の親戚を訪ねる流れになるケースもよくあります。

 反応に困るのが、まったく口に合わない郷土料理が出てきた場面。もちろん向こうは「きっと喜んでくれるだろう」と思って、こっちがおいしそうに食べる姿をイメージしながら出してくれています。大人として、あからさまに嫌そうな顔はできません。気合いでおいしそうに平らげるのが大人とも言えますが、ものには限度があります。

 ただ、向こうだって鬼ではありません。「これが食べられないなら、絶縁だ!」なんてことは言わないでしょう(もし、そういうことを本気で言い出すような義実家なら、別れるかどうかはさておき、露骨に疎遠になる決心がつきます)。

 大切なのは、その土地の食文化に敬意を表して、食べようとする姿勢を見せること。ワクワクした素振りで「うわー、初めて食べます!」と言うぐらいのことはできるはず。口に入れた瞬間は、「ほう、独特の味ですね」と深く感嘆したり、「こういう味なんですね。なるほどー」と大げさに納得したりして、世界が広がったような顔をするのがマナーです。

 二口目、三口目と箸を伸ばせればそれに越したことはありませんが、どうしても一口以上は無理なら、食べる代わりに質問することで口を動かしましょう。「いつごろからある料理なんですか?」「どういうときに食べるんですか?」といった漠然とした質問と、材料や作り方についての質問を織り交ぜれば何とかなります。相手も「あ、口に合わなかったんだな」と察するでしょうけど、料理に興味を示すことで少しは埋め合わせができます。

 自分の実家に連れてきた配偶者が、そういう状況で困っていたら、愛情や頼りがいを示すチャンス。まずは「よかったねえ。これはなかなか食べられないよ」と喜ぶことで料理を出した親の顔を立て、「珍しいだろー」と配偶者に話を振って嬉しそうなフリをするチャンスを与え、その上で「食べないなら、俺が食べちゃうよ」と箸を伸ばしてあげましょう。配偶者は「ああ、この人と結婚してよかった」と思ってくれるはずです。

 ついつい「こんなの出しても、ヨソの人には食べれないよー」と親を責めてしまいがちですが、これは親を不機嫌にさせるだけでなく、配偶者をいたたまれない気持ちにさせてしまう最悪の対応。「無理して食べなくていいからね」も、思いやりにあふれているようで、配偶者をさらに窮地に追い込んでしまう迷惑なセリフです。

 どうせたまにのことですから、無難に「何となくなごやかな雰囲気」を作れれば、それで十分。中途半端に本音でぶつからないのが、面倒な関係になるのを避ける大人の智恵です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン