国内

不正にATMからカネ引き出す強盗団の被害防ぐための注意点

 世界20か国以上で24時間のうちに1万1777回(現在判明分)の不正引き出しが行なわれ、約40億円が盗まれた事件。“スーパーハッカー強盗団”とも称されるようになった出し子のひとりとして東京都心のコンビニのATMの前に立ったのはルーマニア国籍の23歳女だった。偽造キャッシュカードを使って10数店舗をハシゴし、数千万円の現金を手にした──。

 私たちの銀行預金を狙っているのは、ルーマニア人犯罪組織だけではない。
 
 ネットバンキングでの不正送金事件の発生数の推移をまとめると、4か月ほど前から急激に増えていることがわかる。今年1~7月の被害額は総額3億6000万円に上り、過去最悪の年間被害額(2011年)をすでに超えている。
 
 ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。
 
「簡単にいえば、ネットバンキングのIDやパスワードを盗み、口座から勝手にお金を抜き取る犯罪のこと。昨年までは、一斉メールなどから銀行ソックリの偽サイトに誘導し、ログインのための個人情報を盗む『フィッシング』が主流だったが、ここ数か月で大流行しているのが、『ウイルス』によるものです。

 その手口は、まずパソコンをウイルスに感染させる。これは特定のホームページを見るだけでも感染する。すると、例えば、あるメガバンクのサイトにログインすると、強制的に“セキュリティ上の問題が発生したので、もう1度、ID、パスワードを入力してください”などという別画面が表示される。銀行サイトと同じデザインなので、うっかり書き込んでしまうと、それらのデータが盗まれ、勝手に他の口座に送金されるなどの被害が発生するわけです」
 
 この種の犯罪をするグループでは、出し子や不正送金先口座の名義人が約30人逮捕されているが、そのうち8割が中国人だという。
 
 それでは、そのような被害を受けないために、私たちが注意を払うべきことはなにか。専門家に聞いた対策を以下に列挙するので、ぜひ実践していただきたい。
 
・口座の入出金記録をこまめに確認する。キャッシュカードばかり使って通帳の記帳などを怠ると、不正引き出しや不正送金にさえ気づかないことも。
 
・貯金用と普段使いの口座を分ける。前者はキャッシュカードを作らないようにすれば、スキミング対策になる。後者には高額な残高を入れないようにすれば、大きな被害を防げる。
 
・セキュリティ対策ソフトを導入するなど、ウイルス対策をしっかりやる。有料ソフトを使い、アップデートは怠らない。
 
・ウイルス感染のリスクを減らすため、重要な情報をやり取りするパソコンと、日常生活で使うパソコンをわける。
 
・わかりやすい暗証番号は避ける。不正によって口座からお金が失われた場合は、基本的に全額が銀行によって補償される。ただし、不正引き出しや不正送金の被害に遭った時、暗証番号をわかりやすいものにしていると全額補償されないこともある。
 
・メール、Facebook、Twitterなどのメッセージで送られてきたURLはクリックしない。フィッシングサイトである可能性がある。
 
 サイバー犯罪は日々進化している。正しい知識を持つことが、我々の最大の防衛策だ。

※週刊ポスト2013年9月6日号

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