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TENGA社がカップル用ラブグッズ「VI-BO」開発に込めた思い

TENGA社が新発売するラブグッズ「VI-BO」

 ラブグッズメーカーのTENGA社は、構想8年のカップル用ラブグッズ「VI-BO(バイボ)」を10月10日に発売する。ラインナップは、フィンガー・ボール、リング・ボール、ハンド・ボール、ツイン・ボール、スティック・ボールの5アイテム。TENGAの松本光一社長は、新製品「VI-BO」への熱い想いを一気に語る。

「TENGAの会社創設は8年前。実はその当時から、カップル用アイテムの構想をずっと胸に秘めていました」

 この8年間の性具をめぐる状況といえば──「アダルトグッズ」に代わって「ラブグッズ」の名称が普及しはじめた。セックスを彩るツールが、少しずつだがライトで明るいイメージを持たれるようになっている。だが、松本社長は残念そうに首を振った。

「ラブグッズはまだ“大人のおもちゃ”時代の残影を背負っています。男性が一方的に責め、女性が感じまくるという構図から抜けきっていないんです。性を楽しく盛り上げるグッズは、デザインから触感、色調、機能にいたるまで細部に気を配り、性能も抜群でなければいけません」

 TENGAはカップやエッグ、iroha(イロハ)といった製品で、ライト、ポップ、セルフプレジャー……といった従来の常識を覆すプレゼンテーションを重ねてきた。その経験と自信の蓄積、さらにはずっと松本社長が温めてきた想いが「VI-BO」に注がれている。

「正式にカップル用ラブグッズにゴーサインを出したのは2年前のことです」

 松本社長は開発スタッフのトップに遠藤海氏を指名した。遠藤氏は社歴6年目。TENGA初の新卒社員であり、大ヒット作・エッグの開発担当者でもある。遠藤氏はいう。

「男性にとっても女性にとっても、ラブグッズを一度はセックスで使ってみたいものです。ただ、従来のグロテスクなグッズだと、女性には抵抗感が強くてNGでしょう。やはり前戯の段階から楽しく会話を交わせるグッズが必要なんです」

 エッグを成功させた遠藤氏も、「VI-BO」の開発には悩み抜いた。煮詰った彼を救ったのは、洗面所にあった日用品──。

「電動歯ブラシを使っている時にひらめきました。そうだ、1アイテムにこだわる必要はない。使う人のシチュエーションにマルチに対応できる、複数の製品にしようと思いついたんです」

 基本のバイブレーターを1個にして、家族ごとに歯ブラシ部分だけ取り替えるように、ラブグッズも用途ごとにアタッチメント(付属品)を取り替えればいい。松本社長も遠藤氏の着想に太鼓判を押した。

 1年後、「VI-BO」の原型ともいえる10の試作品があがってきた。キューブや樽型、どら焼きを連想させるような形状もあったという。

 松本社長は、そこにプロダクト面の課題を重ね合わせた。「TENGA製品である以上は、機能面で優れ、そして安心できるものでなければいけません。ミニマムサイズでありながら、バイブレーションのパワフルさを実現させるための試行錯誤を繰り返しました」

「VI-BO」を駆動させるのは、直径3cmしかない小さなボール状のバイブレーターだ。松本社長は工夫を凝らした。

「コンパクトな球体にバッテリーが3つも入っています。だから振動は手応え十分。しかも電池交換が可能で、生活防水機能もクリアしましたからお風呂でも使えます」

 こうしてボールの機能とデザインが決定する一方で、カバー素材の選定も進んでいた。

「新素材を開発しました。基本はエラストマーという柔らかで安全な材料です。そこに別の素材を加えることで、ベトつきを抑えた感触とマットな質感の表面を実現することができました。その配合具合には本当に苦労しましたが、ようやく納得のできるものになりました」

「VI-BO」の登場でTENGAが目指してきた製品ラインナップは揃ったことになる。

「でも、当社はまだまだ進化を続けます。実は新しい男性用グッズの開発を、私が中心になって進行中です。カップル用アイテムも、今回はビギナー向け。セックスの奥義を極めるためにも、上級者用グッズを作って、皆さんをアッといわせるつもりです」

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

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