ライフ

釣りでよく使われる「朝まずめ」「夕まずめ」は何時頃なのか

 釣りには、普通の生活では滅多に耳にしない言葉がよく使われる。一日の時間をあらわす言葉にも、釣り独特の言い回しが多くある。釣り関連の著書を多く執筆・編集している高木道郎氏が、釣りでよくつかわれる「まずめ」という言葉について解説する。

 * * *
 釣りでよく使われる言葉に「まずめ」がある。朝まずめ、夕まずめ、という使い方をされるが、辞書には滅多に登場しない釣り用語である。ただ、『広辞苑』第六版には「まずめ」が「日の出と日没の前後。それぞれ朝まずめ・夕まずめといい、この時刻は魚が餌をよく食うとされ、好漁の潮時。まじめ。まずみ。」と比較的詳しく解説されている。

 釣り人はまずめではなく「まづめ」と書くことが多いようだ。これは「間詰め」という語源説に由来し、夜から朝までの間隔、昼から夜までの間隔を詰める時間帯を意味する。

 ただ、調べたところでは、本来は漁村などで使われる漁村用語らしく、「まじめ」や「まずみ」から転訛したもののようだ。

 日本語には時間による明るさの変化を細かく表現する言葉が豊富で、日の出前後、日没前後を意味する言葉はたくさんある。日没前後は逢魔(おうま)が時(とき)(大禍時)、黄昏時、誰(た)そ彼時(がれどき)、彼(か)は誰時(たれどき)、入(い)り方(がた)、入相(いりあい)、火点(ひとも)し頃(ごろ)、薄暮(はくぼ)、夕間暮(ゆうまぐ)れ、珍しいところでは、雀色時(すずめいろどき)、桑楡(そうゆ)などといった表現もある。

 いずれも薄暗くなって物の輪郭がぼやけ、見えにくくなる状態を意味している。

 物が見えにくくなるのは魚もいっしょ。人も魚も昼間は錐体(すいたい)という視細胞で、夜間は桿体(かんたい)という視細胞で物を見る。錐体は色を識別でき、桿体は自発光する物以外は色を識別できないが、明暗差(コントラスト)を識別できる。

 海中のプランクトンは浮き沈みに1~2時間を要するため、夕方に浮上をはじめて夜間に活動して夜が明けると沈む。魚の捕食範囲に浮くのは夕方から朝にかけてだが、夜はさすがに見つけにくい。そのため海面が薄明るく、下から明暗で見つけやすい朝まずめと夕まずめに集中的に捕食する。「朝夕の1時間は日中の5、6時間」はまずめを集中的に釣るのが入れ食いのコツ、との教えである。

■高木道郎(たかぎ・みちろう)1953年生まれ。フリーライターとして、釣り雑誌や単行本などの出版に携わる。北海道から沖縄、海外へも釣行。主な著書に『防波堤釣り入門』(池田書店)、『磯釣りをはじめよう』(山海堂)、『高木道郎のウキフカセ釣り入門』(主婦と生活社)など多数。

※週刊ポスト2013年9月13日号

関連キーワード

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン
オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン