スポーツ

五輪招致請負人・バレー氏 「数字を入れろ」など緻密な助言

 ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会での、イスタンブールとの決選投票で60票を獲得する東京の圧勝劇。日本オリンピック委員会(JOC)の関係者が語る。

「投票する約100名のIOC委員のうち、3分の1はどこに入れるか決めていない“浮動票”です。彼らは当日のプレゼンを見て投票する都市を決めるので、招致委員会は、最終プレゼンに持てる力すべてをかける思いで準備を進めていました」

 2016年開催の五輪招致では、IOCに東京の魅力を伝えきれず敗北を喫しただけに、今回は同じ轍を踏まぬよう入念に作戦を練った。そして2年前、招致委員会は、国際PRを専門とする1人のプロのコンサルタントを雇った。

「複数年契約で報酬は年間3000万円と噂されています。決して安い報酬ではありませんが、今回の勝利は、彼のおかげといっても過言ではありません」(スポーツ紙記者)

 その人物こそが“招致請負人”のニック・バレー氏だ。バレー氏は英紙ガーディアンの元記者で、コンサルタントに転身後、パリが本命と見られた2012年の五輪開催地を大逆転でロンドンにもたらし、2016年のリオデジャネイロ招致も成功させた、すご腕の五輪招致請負人だ。

「彼は誰よりも東京の強みを理解しており、招致委員会に対して“東京が世界に誇れるのは、財政と治安、そしてインフラの安定性です。プレゼンではこの3つを最大限にアピールすべきです”と一貫して訴えていました。また招致委員メンバーの意識改革も行いました。“とにかく現地では常に人に見られていることを意識して、笑顔でいなさい”とか“日本人の笑顔はわかりづらいから思い切り笑いなさい”などと言い続けたそうです」(前出・JOC関係者)

 バレー氏は、プレゼン当日にさまざまな仕掛けを施していた。発言機会こそなかったものの、登壇メンバーの中に、2010年のユース五輪(14~18才までを対象とした五輪)で金メダルを獲得したトライアスロンの佐藤優香選手(21才)を起用した。

「ユース五輪はIOCのロゲ会長の肝いりで始まった大会で、その大会第1号金メダリストの彼女を出席させることで、ロゲ会長に“東京はユース五輪も大切に考えています”とアピールしたんです」(前出・JOC関係者)

 また日本のプレゼンで目立ったのは、まるで欧米人のようなオーバーアクションで熱弁をふるう登壇者の姿だった。これもバレー氏の指導によるものだという。スポーツジャーナリストの二宮清純氏が語る。

「日本人は、欧米人に比べて感情表現が得意ではないので、バレーさんはエモーショナルなスピーチを徹底的に練習させたそうです。ジェスチャーから、笑顔と神妙な顔の使い分け、そして声の抑揚、目線やまばたきのタイミングまで、一つ一つの所作をストップウオッチで時間を計りながら繰り返し練習したようです」

 さらにバレー氏がこだわったのは“スピーチの中に具体的な数字を入れる”ということだった。

「滝川クリステルさん(35才)の“東京は現金を落としても戻ってくる。昨年は30億円が警察に届けられた”という話やフェンシングの太田雄貴選手(27才)の“ロンドン五輪の祝賀パレードに平日にもかかわらず50万人を超える人々が集まった”とか、具体的な数字を出すことで説得力が増すことを、彼は強く説いたんです」(前出・JOC関係者)

※女性セブン2013年9月26日号

関連記事

トピックス

イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン