ビジネス

ヤマハとヤマハ発動機 同じコンセプトでブランド戦略構築

 ピアノをはじめ楽器事業を中心とした「ヤマハ株式会社(以下「ヤマハ(株)」)と、二輪事業を中核とする「ヤマハ発動機」(以下「発動機」)は、別会社として同じブランドを展開しているが、近年はリーマン・ショックにより両社とも大打撃を受けた。

 特に海外比率が大きい発動機は2009年12月期に2000億円以上の最終赤字を計上し、リストラを余儀なくされた。国内市場が縮小する中で、2社はYAMAHAブランドを次世代にどうつなげていくか、岐路に立たされている。

 事業が重複しないことから、独立性が高く人的交流もないまま、長く完全な別会社としての体制を取ってきた2社。しかし現在は、共通のブランドであることを活かそうとする取り組みを始めている。2007年に立ち上がった「合同ブランド委員会」がその中心だ。伊藤泰志・ヤマハ(株)ブランドマネジメントグループマネジャー(49)が語る。

「年に1回、両社の社長が出席し、ブランド力を高めるための取り組みを話し合います。 実働部隊として両社数名ずつの事務局があります。両社が企業理念の上位概念として掲げる『感動』をキーワードに、ブランドを高めるための具体的な取り組みとして昨年から始めたのが、『グラフィック・グランプリ』です」

 2社合同で絵画、イラスト、グラフィックデザインなどの作品を一般から公募し、審査するコンテストである。昨年は予想を超える1585作品が集まって話題となった。

 発動機でブランド推進を担当する広報宣伝部宣伝グループの石塚晋グループリーダー(53)は、「製造業は、コモディティ化して他社と差がなくなれば負けです。ヤマハは『信頼できる』『期待を超える』『憧れ』のブランドという認識をもっと広めていきたい」と語る。発動機の柳弘之社長は、決算発表で2社合同のブランド戦略の取り組みについて本誌の質問にこう答えた。

「ヤマハブランドを両社が同じ方向、同じコンセプトで守っていこうと意図している。  インドネシアやインドでは、(発動機の)モータースポーツと(ヤマハ(株)の)音楽を一体としたイベントを頻繁に開催している。新興国は平均年齢が若く若者文化が台頭しているので、ヤマハブランドの総合力が活用できる」

文/ジャーナリスト・永井隆、ジャーナリスト・海部隆太郎

※SAPIO2013年10月号

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン