「僕が京大に現役合格できたのは『パズル』のおかげなんです!」
「日本で唯一のパズル研究家」である、京大大学院在籍中の東田大志氏(29)はこう豪語する。進学校へ通っていたものの、高3の夏休み前までは、とても京大に合格できるレベルにはなかった。にもかかわらず、いざ本格的に受験勉強を始めるや1か月で成績が急上昇。塾や家庭教師に全く頼らず、数学の偏差値は30以上も上がった。
東田氏は「小学生の頃からパズルに没頭していたおかげ」と説明する。
「思い返せば、受験勉強に必要な論理力、集中力を始め、あらゆる思考能力がパズルで幼い頃から自然と身に付いていたんです」
なぜパズルで思考能力が上がるというのか。
「クロスワードパズルでは、知らない言葉があっても他のマスを埋めて推理して解いていくことができますよね。知識の有無を問うクイズとは違い、パズルは正解を知らなくても、周囲のつながりから推測して答えに辿り着ける。状況判断力や論理的思考、発想力などが自然と鍛えられるんです。
パズルの好みには男女差があり、女性は文字の入ったパズルを、男性は数字の入ったパズルを好む傾向があります。また、女性は間違い探しなど絵を用いる絵が入ったパズルを好みますが、地図を用いた問題は苦手なようです」
東田氏はパズルを解くだけではなく、中学生の頃から自分でパズルを作るようになった。
「パズルはただ正解を設定するだけでは成り立たない。なぜそれが正解なのか、“それ以外の可能性はゼロである”ときちんと証明できなければいけません。論証を徹底的に重ねる必要があるのです」
数学の偏差値が飛躍的に伸びた理由はそこにあるのかもしれない。“パズル力”は、日常生活でも大いに役立つという。
「勉強にせよ、ビジネスにせよ、何かを実行する際には最も効率的な方法を判断した上で動くことが重要です。パズルでは、ルールの下で複雑な物事を瞬時に処理する能力が鍛えられる。処理能力が培われるので、整理整頓も上手になります」
近年、パズルは幼児教育や受験、入社試験にも取り入れられるなど、その効力に注目が集まっている。
※週刊ポスト2013年10月18日号