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「守るお金」の運用は金利の仕組みと金融商品を知ること重要

“お金のお医者さん”として知られる「家計の見直し相談センター」の藤川太氏がお金に関する固定観念を解きほぐす『マネーポスト』連載「お金持ちの方程式」。今回は、日本経済がデフレを脱却し、いよいよインフレに突入しようとするなか、「守るお金」(積極的に投資に回せないお金)はどう運用していけばいいのか、そのノウハウを解説する。

 * * *
「守るお金」の具体的な運用方法について、ポイントは2つあります。1つめのポイントは「金利の仕組みを知ること」です。

 金利は期間によって「短期金利(1年以下)」と「長期金利(1年超)」に分かれます。短期金利は日本銀行が政策決定会合で決める政策金利であるのに対し、長期金利は市場で取引される新発10年もの国債の利回りで決まってきます。

 そこで金利動向を見ていくと、まず日銀が「異次元の金融緩和」を断行しており、それが少なくとも2014年末までは続くと見られるなか、短期金利の上昇はしばらく考えにくいでしょう。

 一方、長期金利は市場で決まるため、なかなか読みにくい面はありますが、基本的には「今後短期金利が上がるだろう」といった思惑から短期金利に先んじて上昇することが多いようです。

 それは過去の推移からも明らかです。たとえば日銀が2001年にゼロ金利政策という金融緩和に踏み切って以降、短期金利が0%近くに張りつくなか、長期金利は2003年6月に0.43%まで低下しました。ところが、景気回復に伴って2006年7月に日銀はゼロ金利を解除して政策金利引き上げに転じ、短期金利は0.5%台まで上昇。長期金利はそれを見越して同年5月には2%台に上昇しました。

 その後、今年4月からの異次元金融緩和を受けて長期金利は一時0.315%という過去最低を記録しましたが、ここ10年でみていくと、むしろ1%以下になることが異常といえます。そう考えていくと、長期金利は今後の短期金利の上昇を睨みつつも、概ね1~2%の間で推移していくのではないでしょうか。

 問題はいつ上昇に転じるかですが、少なくとも2014年末までは金融緩和は続く予定ですし、加えていえばその間に消費税引き上げなどもあるため、景気回復がおぼつかない可能性もある。そのため、金融引き締めに転じて金利が上昇局面を迎えるのは、2015年以降にずれ込む確率が高いのではないでしょうか。

 そこで求められるのが、金利水準の波に合わせた運用戦略です。現在のような低金利下では、なるべくいまの水準に縛られない「短期」のものにして金利の上昇に伴って乗り換えていくか、そもそも金利に連動して利回りが上がっていく「変動」を選ぶのが鉄則です。

 逆に、金利が高水準にある時は、今後の下落局面を見越し、高金利の恩恵が長く続く「長期」「固定」のものに目を向けるべきでしょう。

●低金利下では「短期」「変動」
●高金利下では「長期」「固定」

 この法則さえ覚えておけば、物価上昇に伴う資産の目減りは防げるはずです。

 2つめのポイントは「『守るお金』を運用する金融商品をよく知ること」です。守るお金というと、預貯金が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、大手銀行の定期預金でも金利は“スズメの涙”であることはいうまでもありません。

 そこで目を向けたいのが、まずインターネット銀行の「ネット定期」です。1年もので金利0.3%(税引前)などと、軒並み0.025%(同)となっているメガバンクの10倍以上の利率となっています。100万円を預けた場合、1年後にメガバンクでは250円、ネット定期では3000円の利息ですから、その差は歴然でしょう。

 ネット定期にはもっと長期のものもありますが、とりわけ1年ものの金利が高い傾向があります。将来的な金利上昇局面を考えると、1年ごとにより高い金利のものに乗り換えられるというメリットもあるでしょう。

(連載「お金持ちの方程式」より抜粋)

※マネーポスト2013年秋号

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