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一人暮らし高齢者激増で単身者向け広間や台所等共用住宅増加

「平成24年高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らし高齢者は昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人だったが、平成22(2010)年には男性約139万人、女性約341万人と激増している。そして、一人暮らしというだけでなく、友達がひとりもいない老人、本当の“おひとりさま”老人が増えているという。

 おひとりさま高齢者を親に持つ子供たちがまず考えるのは、老人ホームへの入居をすすめることだ。しかし、これは諸刃の剣だ。関西在住のケアスタッフが、ホームの現状を語る。

「どうして入居しているのか? と不思議に感じるくらい元気で退屈している人が目に付く。『カゴの中の鳥、暇でどうかしちゃいそう』と嘆く入居者もけっこういる。子供は親に施設への入居を薦めがちですが、過剰な心配は、親不孝になりかねません」

 もちろん必要ならば施設を利用するべきだが、行政や地域の助けを借りれば自立できる場合は、多くの人と触れあいやすい環境に身を置いてもらうことを優先したい。その選択肢の一つがコレクティブハウスだ。

 コレクティブハウスとは、私有空間とは別に、広間やキッチンなどの共用スペースを持つ共同生活を前提とした集合住宅だ。共働き世帯や高齢単身者などの増加を背景に、近年、増加傾向にある。

 東海地方の住宅街にあるコレクティブハウスに暮らすのは70歳と67歳の夫婦。7年前に、同じ市内にあるマンションからここへ越してきた。その理由はズバリ、「もしどちらかが一人になってもここでなら生きていけると思っている」からだ。共用スペースでは毎日のように子供たちが遊んでいる。

「さっきもそこで、ワーとかキャーとか叫んでいたんですが、あの子供の泣き声が、我々にとっては元気の源なんです」

※週刊ポスト2013年10月25日号

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