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ジョブズ超えると評判の起業家 資産8000億円で夢は火星移住

 米アップル創業者の一代記を描いた映画『スティーブ・ジョブズ』が話題を呼んでいるが、いまアメリカでは「ポスト・ジョブズ」の呼び声高き天才起業家がいることをご存じだろうか。

 イーロン・マスク氏がそうだ。42歳にして3つの会社を所有し、個人資産はなんと8000億円。映画繋がりでいえば、大金持ちの発明家が獅子奮迅の活躍を見せる『アイアンマン』(2008年)で主人公のモデルとされ、2作目ではマスク氏本人もチョイ役で出演を果たした。

 マスク氏の経歴を紹介しよう。1971年に南アフリカ共和国・プレトリアで生まれた彼は、母方の血筋であるカナダに移り住みクイーンズ大学やペンシルベニア大学で勉学に励む。その後、1995年スタンフォード大学大学院に進学するもわずか2日で辞めてしまう。ちょうど世はインターネットバブルが花開き、アメリカンドリームを求める若者が台頭していた時代。マスク氏もその波に乗り遅れまいと起業を志した。

 最初に設立したのは、ネットコンテンツをニューヨークタイムズ誌などに配信する会社。だが、せっかく築いた会社もあっさりコンパックに売り払ってしまう。その後起業したネット決済会社もeBayに売却。要するに次々と会社売却で得た巨額資金を“夢の開発”につぎ込む目的だったのだ。それが宇宙ロケット事業である。

 2002年に創業した「スペースX社」は、マスク氏が独自でロケットを開発し、昨年、国際宇宙ステーションとのドッキングに民間企業として初めて成功した。ゆくゆくは宇宙旅行を手掛ける計画だというが、マスク氏の野望はさらに果てしない。

「マスクの常人には真似できない発想力や開発者魂はジョブズを凌駕している」と話すのは、ビジネスコンサルタントの竹内一正氏(オフィス・ケイ代表)。これまでジョブズ氏の経営手法を数々の著書で紹介してきた竹内氏ですら、マスク氏の底知れぬ天才ぶりに舌を巻く。

「彼は大学時代に早くもインターネット、持続可能エネルギー、そして宇宙開発の3つが人類にとって大事な問題になると予見していました。地球はこのままいけば温暖化が進んで100億人なんて住めなくなる。ならば人類はいずれ火星に移住すべきだとの信念でロケット事業に参入したのです。

 温暖化の問題は二酸化炭素の排出量を少しでも減らさなければとの信念から、電気自動車(EV)メーカー『テスラ・モーターズ』のCEOに就任しました。ノートPCのバッテリーを約7000個搭載し、ポルシェより速く走る高級スポーツカー『テスラ・ロードスター(価格は約1000万円)』を開発。ジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオなどハリウッドスターが飛びついたこともあり、全米の話題となりました」(竹内氏)

 テスラ社はその後、新型セダンの『モデルS』も発売し、11月5日に発表された7―9月期決算では前同期比9倍となる400億円超の売り上げを叩き出した。パナソニック製のリチウムイオン蓄電池を使っていることもあり、少なからず日本企業も恩恵を受けている。

 さらに、EVの弱点だった充電ステーションを独自に全米に整備し、個々のステーションが有しているセルフ発電のための太陽光パネルも、マスク氏が会長を務める「ソーラーシティ社」が供給している。

「火星ロケットを作るまでには時間がかかる。そこでEVと太陽光発電で地球環境の悪化を食い止めておくというのが彼の途方もない考え。どれも国家レベルですら手を焼く難事業なのに、それをマスクはひとりでやろうとしているのです。

 ジョブズはパソコンで人々の生活を便利に変えましたが、マスクの挑戦は人類と地球の歴史を変える壮大なものになる可能性を秘めています」(前出・竹内氏)

 だが、難事業で巨額投資が必要な事業ゆえに、常に潤沢な資金が回っていたわけではない。2008年には前述のEVロードスターの出荷遅れやロケットの売り上げ失敗、さらにリーマン・ショックが追い打ちをかけて大打撃を被ったという。そのため、私財を投じて社員の給与を払ったという逸話も残っている。

 また、超多忙な日々を送るマスク氏にとって、どうしても犠牲になりがちなのが私生活である。

「学生時代に付き合っていた女性と結婚し、双子、三つ子と5人の子供を授かったのですが、2008年の経営危機で奥さんが愛想を尽かして離婚。その後、再婚したイギリス人の女優とも年の差が離れすぎていたこともあり、すぐに離婚してしまいました。

 ただ、長身でイケメンの風貌、著名人との交友関係も広いために女性からはモテる。最近ではキャメロン・ディアスとの浮き名がゴシップ誌で報じられました。今後、とてつもない大きな目標に向かいながら、いかに私生活も充実させていくか。彼の一挙手一投足から目が離せません」(竹内氏)

 公私ともに溢れ出る情熱を単なる夢物語で終わらせず、次代に名を刻み続けることができるか。

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