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食品偽装 産地表示しないアメリカなら「エビはエビ」で終了

 名門ホテルから百貨店など、次々と発覚する食品偽装問題。世界的なホテルチェーンとして知られる『ザ・リッツ・カールトン大阪』のオリオル・モンタル総支配人は、記者会見でグローバルな視点から今回の騒動をどう受け止めているかを問われ、こう答えた。

「日本特有の問題と受け止めている」

 高い品質とブランドにこだわる日本だから、今回の事態が生じた──そう言いたかったようだが、自らの責任を棚に上げた言い分には唖然とするばかりだ。

 産地の表示は、国の文化や国民性により大きく異なる。食品ジャーナリストの吾妻博勝さんが解説する。

「例えばアメリカでは、えびだったら『シュリンプ』という表示があるだけで、産地やブランドの表示はない。それが当たり前と受け止められていて、消費者も『えびはえびでしょ!』と考える。そもそも偽装をする必要性がないんです。逆にヨーロッパでは、とくにフランスやドイツでは提供する側の意識やプライドがとにかく高い。消費者の求めるレベルも高いですが、それに真っ向から応えようとするんです」

 食文化史研究家の永山久夫さんは、世界に冠たる和食文化の最大の特徴は「素材の持ち味を最大限に大切にすること」だという。

「和食は世界のどの料理より素材を大事にします。日本には春夏秋冬があり、季節によって味と栄養が濃厚になる“旬”の食材に恵まれています。魚だって、時期によって違う海流に乗ってやってくるんです。昔の日本人は皆、旬の食材を知っていたし、逆に旬によって季節の変わり目を実感していました」

 それはまさに欧米とは異なり、産地や旬のものを尊び、愛で育ててきた日本古来の食文化のたまものだろう。しかし、現在の日本人は変わってしまったと嘆く。

「今の日本人は年中、同じものを食べたがる。素材にも過剰に味つけをして本来の味がわからなくなっていて、ネーミングやブランドしか信じない。旬を忘れたうえ、味覚も失った。それがつけいる隙を与えたのかもしれません」(永山さん)

※女性セブン2013年11月28日号

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