ビジネス

【ドル円週間見通し】米国雇用統計が良好でも上値は限定的か

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月2日~12月6日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、米国11月雇用統計を見極め、12月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング(量的緩和縮小)の可能性を探る展開が予想される。米国11月の雇用統計が良好だった場合でも、12月13日を期限とする米国議会超党派議員による財政改革協議への警戒感から、ドル・円の上値は限定的だと予想される。

【米国ヘッジファンドと米系企業の決算】
 米系ヘッジファンドは、年末に向けた米国企業の利益送金、12月のFOMCでのテーパリングへの思惑から、98-99円を行使価格、102-103円を消滅条件(ノックアウト)とするドルコールオプションに取り組んでおり、オプション・バリアー(103円)の攻防戦に警戒する展開となる。12月末決算の米系企業は、利益送金のドル買い圧力を強めている。

【日中の軍事的緊張】
 中国が尖閣諸島を含むエリアに防空識別圏を設定したことで、偶発的・局地的な日中軍事衝突の可能性が高まりつつある。極東の地政学的リスクへの警戒感は、東京株式市場の売り要因、円売り要因となる。

【米国10月のインフレ率】(6日)
 米国連邦準備理事会(FRB)高官が、米国経済のディスインフレ懸念を示していることで、インフレ指標である10月のコア個人消費支出(PCE)価格指数に注目する展開となる。ディスインフレ懸念を示す数字だった場合は、12月のFOMCでのテーパリング観測が後退することになる。

【米国11月の雇用統計】(6日)
 米国11月の雇用統計の予想は、失業率が7.2%と10月の7.3%から低下、非農業部門雇用者数は、前月比+18.3万人と10月の+20.4万人から増加幅が減少することが予想されている。予想通りならば、12月のテーパリング観測が高まり、悪化していた場合は、テーパリングは、2014年3月以降に先送りとなる可能性が高まる。

 12月2日-6日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)11月ISM製造業景況指数- 2日(月)日本時間3日午前0時発表
・予想は55.0
 先行性のある同指標内訳の10月「新規受注DI」は60.6←9月60.5とやや拡大。既公表の11月の各地区連銀指数は、NY、フィラデルフィア、ダラスは低下、カンザスシティは多少改善。これらを総合的に判断すると指数の上昇は期待できない。

○(米)11月ADP雇用統計- 4日(水)日本時間午後10時15分発表
・予想は+17.3万人
 参考指標となる10月の数字は+13万人にとどまっていた。9月分は+16.6万人から+14.5万人に下方修正されていた。10月の数字は政府機関の一部閉鎖の影響を反映した数字だったが、雇用環境の改善は遅れている。雇用者数は市場予想を下回る可能性がある。

○(米)11月ISM非製造業景況指数- 4日(水)日本時間5日午前0時発表
・予想は、55.1
 同指標の10月内訳で、先行性のある「新規受注」DIは56.8←9月59.6と低下している。「在庫」DIは横ばい、「受注残」DIは50.0にやや低下した。新規受注の鈍化を考慮すると10月実績を下回る可能性がある。

○(米)11月雇用統計- 6日(金)日本時間午後10時30分発表
・予想は、非農業部門雇用者数は、+18.3万人、失業率は7.2%
 11月12日を含む週の新規失業保険申請件数は32.3万件に減少していた。10月同期の35.8万件を下回っており、非農業部門雇用者数は10月実績を上回る可能性がある。ただし、10月分の数字は下方修正される可能性がある。労働参加率は伸び悩んでおり、失業率が低下しても不思議ではない。

 主な発表予定は、4日(水):(米)10月新築住宅販売件数、(米)10月貿易収支、5日(木):(米)7-9月期国内総生産改定値、6日(金):(米)10月個人所得・支出、(米)12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報

【予想レンジ】
・ドル・円100円00銭-105円00銭

関連キーワード

トピックス

懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン