今回が2013年最後のコラムになる。そこで議論の射程をやや長くとって、2014年の政治がどうなるか、どうあるべきかを考えてみたい。
折から臨時国会では特定秘密保護法が成立した。と思ったら、修正案を共同提案したみんなの党が分裂し、江田憲司前幹事長らが集団で離党する事態になった。年内に立ち上げる予定の「江田新党」が野党再編の目になるかどうか、注目されているが、私はそれよりも政治の活性化には与党の対応が鍵になる、とみる。
国会はなんといっても自民、公明の与党が圧倒的多数を占めている。選挙はなさそうだから、現状は当分、変わらない。となると、どうなるか分からない野党再編を待っているより、まずは与党に頭の中を切り替えてもらったほうがいい、と思うのだ。
ずばり言えば、圧倒的多数を握る与党は、なんでもかんでも政府の後押しをするのではなく、場合によっては与党独自の判断で柔軟な国会運営を目指すべきだ。今回の秘密法で言えば、最後のドタバタ局面で国会会期延長に動くのではなく、もっと早い段階で延長か来年の通常国会へ継続審議を決断すべきだった。
そんな「ないものねだり」したってムダと思われるかもしれない。だが、私は大真面目である。なぜか。それは「国会議員」の本旨にかかわっているからだ。
与党だろうが野党だろうが、国会議員の役割は国民に代わって議論を尽くす点にある。政府は政策を予算案や法律案にして国会に提出するのが役割である。国会はそれを審議するのが務めだ。
以上のような考えから、私は秘密法案の本会議採決前、自民党の最高幹部に「早い段階で会期延長を考えるべきではなかったのか」と単刀直入にぶつけたことがある。
すると、彼は意外にも「実はそれも考えた。だが、参院で法案成立にがんばってくれている同僚たちを考えると、やはりできないと思った」と答えた。やはり頭の片隅では考えていたのだ。結果として会期延長は遅れたが、いずれ似たような展開もあるだろう。次はぜひ、永田町の情勢だけでなく、国民がどう考えるかに思いをめぐらせてもらいたい。
文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号