おもてなし、という言葉の好き嫌いはともかく、日本の国際競争力を高めていくためには、より多くの外国人を招き日本の魅力を深く伝えていくことが必要だ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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昨年はとうとう訪日外国人数が史上初の「1000万人」を超えました。それでもまだ世界33位とか。のびしろはまだまだある、ということ。2014年は、その数をどれくらい伸ばせるか。
無料公衆無線LANの整備や英語看板の整備など、課題はいろいろ指摘されています。でも、ただ単に便利な環境を整備すればいい、というものではない。
「日本ならでは」の驚きや魅力があるからこそ、わざわざ遠い国から人々がやってくる。発見や感動を探して。では、外人から見た日本の魅力や驚きとはどこに? 意外に日本人自身も気付いていないところで、外国の方々は感動されたり驚かれたりしているようです。「日本のここがびっくり」という点について聞いてみると……。
●脱いだ靴が散乱する玄関
玄関先に無造作に脱いだ靴が並ぶ光景。日本人には日常的なワンシーンですが、外国の方々にはこれがかなり奇妙キテレツ、アバンギャルドに映るらしい。
ご存じ、欧米ではよほどのことがない限り靴は脱がない。「靴をぬぐ」のはごく限られたプライベートな時だけ。なので、日本の玄関口は、ひとつのアート的風景にさえ映るとか。実際に、玄関口の風景を写真に収めていく外国人もしばしば。
同じ意味で、お菓子を詰めたクリスマスブーツを見るとびっくり。実はあれ、日本発祥のアイディアなのですね。「クリスマスソックスのようなもの」だと説明すると、分かってもらえるようです。私たちが気付かないところに、豊かな発見や驚きが潜んでいるのですね。
●古い神社やお寺の境内にある自動販売機
「鳥居の脇に自動販売機をなぜ置くのか。この景観を日本人はなぜ許せるのか。伝統に対する冒涜ではないのか」
私自身、外国の人から詰問された経験があります。たしかにヨーロッパの町は、色彩や素材に統一感を求められ、景観は大切にされて当たり前。それが、日本ときたら……。
伝統ある木造建築や由緒ある鳥居の脇に、ピカピカ点滅する四角い機械を並べて、ぜんぜん平気。そのセンス、アンビリーバブル。過激な光景に映るようです。これも日本独自の風景、旅の途上のユニークな発見となるでしょう。
●トイレの神様「音姫」
「音姫」はトイレの水洗音を擬似的に発する擬音装置。自分の排泄音を人に聞かれるのを嫌う日本人女性の細やかな感覚から生まれたこの装置、今では女性トイレに当たり前のように設置されています。が、日本以外にそんな羞恥心は存在しないのか、外国の女性たちは一様に驚愕してくれる。いわば、「日本らしさ」がぎゅっと詰まった逸品、と言えるのではないでしょうか。
でも、一番驚いているのは実は外国人の反応を通して「音姫」の音に初めて接する、日本人男性かも。