そもそも、薄さにかける日本メーカーの執念は不毛だったとの指摘もある。日本家族計画協会クリニック所長で医師の北村邦夫氏がいう。
「すでに日本製のコンドームは世界のほかの国々に比べて品質が高く、これ以上、薄さや新素材の開発をしなくても十分なレベルにあります。しかも、0.01mmならコンドームをつけたいが、0.03mmは気持ちよくない――なんて言うほど男女の感覚は鋭いわけではありません。
それよりもメーカーに求めたいのは、口腔性交が原因の性感染症が増えている今日、フェラチオ用コンドームの開発や、避妊具として女性が主導権を握れる女性用コンドームの復活こそ重要だと考えます」
少子高齢化や若者のセックレスなどの影響で、国内では減少傾向にあるコンドーム市場。直近の販売量をみても、2011年に数量270万グロス(1グロス=144個)、金額400億円だった市場は、2012年には250万グロス、370億円と減り続けている。使用者の減少はメーカーにとっては悩ましい問題だろう。
だが、北村医師の言うとおり、コンドームにはHIVをはじめとする数々の性感染症予防の「用具」としての機能も期待されている。そうした意識啓発をする意味でも、次世代コンドームには気持ちよさだけでは量れない高機能性が求められている。