ビジネス

『生命保険の嘘』著者が「カモにならないための常識」を伝授

「老後の介護保障、自助の流れ強まる 生保各社、好調受け相次ぎ新商品」──最近報じられた保険商品の発売を伝える新聞記事の見出しだ。だが、『生命保険の嘘』(小学館刊)を上梓する「保険相談室」代表の後田亨氏は「年金、介護など将来の不安に保険商品で対応できるという印象が持たれていますが、そうした不安の解決策に保険は適していません」と警告する。

『生命保険の嘘』は、後田氏がこれまでに経験した生命保険にまつわる非合理的な出来事に、共著者である大江英樹氏(オフィス・リベルタス代表)が行動経済学の視点から解説した斬新な一冊だ。

 例えば保険加入を検討する際には「皆、どうしているんですか」と聞く人が多いという。それについて大江氏は「行列のできるラーメン店につい入ってしまうようなもの」と解説する。

「保険に限らず、モノを買う時は性能や質を吟味せずに購入する場合があります。それは『情報が無い』時と『情報があり過ぎる』時です。例えば入ったことのない2つのラーメン店があって1つはたくさんの人が並び、もう1つは誰も並んでいないとする。つい、行列のあるラーメン店に入ってしまいませんか。

 味についての情報は手元に無いが『行列があるから美味しいに違いない』と、人が並んでいること自体が判断基準になってしまうのです。それを行動経済学の用語では同調伝達と呼びます。保険で言えば、よくわからないことによる不安を『皆と同じ選択をしている』ことで安心に変えようとするのです」(大江氏)

「情報があり過ぎる」ことも保険会社が狙うポイントだ。後田氏が語る。

「保険は複雑なものが多く、選ぶのが面倒に感じてしまう人も少なくありません。そのような相手には3パターンを提示するケースがあります。

【1】保障は充実しているが料金が高いプラン
【2】安いが保障がシンプル過ぎて不安になるプラン
【3】それらの中間的なプラン

 ご想像の通り、【3】に決まることが多いのです」

 いわば“松竹梅”を出して竹を選ばせるわけである。大江氏の解説だ。

「例えば鰻店で特上・上・並の鰻重がメニューにある場合、7~8割の人は上を注文するそうです。3つのプランを提示して真ん中を選ばせるのは行動経済学で言うフレーミング効果を利用しています。人の判断をコントロールして、実は利幅が大きくて一番売りたい『上』を注文するよう誘導しているのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン