幸い、任天堂には手元資金が8000億円近くあり、すぐに会社の屋台骨が揺らぐ状況にはない。だが、このまま赤字を垂れ流す経営を続ければ、社長のクビどころか、いつ社員のリストラや経費削減策が打ち出されても不思議はない。
「岩田氏が社長に就任してから世に出たハード機は、『Wii』と『DS』、『3DS』が成功して、『ゲームキューブ』と『Wii U』が失敗。まだ3勝2敗と負け越しているわけではないので、株主からの評価もそれほど低いわけではありません。岩田氏のようにハードとソフトの両方が分かっている後継者も育っていないので、もう少し岩田体制は続くと思います。
また、いまはソニーの『PS4』やマイクロソフトの『X―BOX』の売れ行きが好調なように、据え置き型の新型ゲーム機市場は健闘しています。もちろん任天堂が次なる大勝負をするためにも人材の確保は必要。ここで開発部隊などのリストラに着手するようでは、リベンジを果たすことは難しくなるでしょうね」(安田氏)
岩田氏が同社の中興の祖、故・山内溥氏から42歳という若さで社長指名を受けたのは2002年。「期待を裏切らない男」(山内評)がいかに老舗ゲームメーカーの窮地を救うのか。次の一手に注目が集まる。