ライフ

「冬うつ」 男性より女性に多く日照時間短い北の地方に多い

 寒い冬は気持ちが沈みがちなもの。なかなか外出する気になれず、何をするのも億劫になる。さらに、甘いものばかり食べるようになり、昼間も眠くて仕方がないとしたら──あなたは「冬うつ」かもしれない。

「冬うつ」の正式名称は「冬季うつ病」または「季節性感情障害」。その名の通り、晩秋から冬にかけて発症し、春になると自然に症状が治まる。通常のうつ病は食欲がなくなり、眠れなくなることが多いのに対し、やたらと甘いものや炭水化物が欲しくなり、睡眠時間が延びてしまうのが特徴だ。冬眠中の熊ともよく似ている。

 1980年代の初め、ニューヨーク在住の精神科医ノーマン・ローゼンタールによって、「冬うつ」はうつ病とは異なる独立した病気として認知された。冬の特徴は寒さと暗さ。ローゼンタールはまず気温に目をつけたが、人工的に気温を高くしても効果は見られなかった。一方、光に当たる時間を長くすると症状が改善したという。つまり、「冬うつ」の原因は“光不足”だったわけだ。

「人間の脳は気温ではなく、日の長さで現在の季節を判断しているんです」と日本大学医学部精神医学系の内山真主任教授は指摘する。

 地域に関係ない通常のうつ病と違って、「冬うつ」は緯度が高い地方で起こりやすいという。北に行くほど夏と冬の日照時間の差が大きく、冬の日照時間が短くなるためだ。

 それは日本国内でも変わらない。かつて内山主任教授たちが全国6都市に住む30~50代の男女951人を調査したところ、札幌と秋田は明らかに「冬うつ」の傾向を示す人の割合が高かった。6都市の中で、札幌は最も北にあり、秋田は最も日照時間が短い。

 気分の落ち込みや意欲の低下に加え、食べすぎと眠気が特徴の「冬うつ」は熊の冬眠とよく似ている。ある意味では、季節の変化に敏感な人がなる病気といってもいいかもしれない。

「患者は女性のほうが多く、日本では男性の1.26倍多いという調査結果が出ている。女性のほうが環境に適応する能力が高いからでしょう」と内山主任教授は推測する。

 医療機関を受診する人は20~30代が多いが、年齢は特に関係なく、年を取ると治るわけではないという。パークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長はこう話す。

「子供の頃から症状はあったはず。社会人になると、仕事に支障が出て受診するようになるのでしょう。実際、来院する人は主婦よりも仕事を持っている女性が目立ちます」

※女性セブン2014年2月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン