もう一人、米国の新星グレイシー・ゴールドは、シーズン中にコーチを変更するなど、準備を進めてきた。ゴールドの新コーチはフランク・キャロル。バンクーバー五輪で男子金メダルに輝いたエヴァン・ライサチェックや、ミシェル・クワンらを育てた名伯楽で、勝負師とも言われる。
「ゴールド選手のジャンプは豪快かつクリーンで、“教科書的”と、高い評価を得ています。キャロルコーチについて、プログラムも変更しました。ミスのない演技ができれば高得点が望めるでしょう」(前関係者)。キュートな容姿と屈託のない明るさを兼ね備えた17歳は、ここのところ元気のなかった米国待望のスターで、絶大な人気を誇る。もう一つのフィギュア大国が送り出す新星は大舞台でどこまで躍進するか。
過去を振り返ると、五輪の女子フィギュアでは、本命視されていなかった選手が金メダルをさらっていく例が、少なくなかった。長野五輪では15歳のタラ・リピンスキーが、全米女王ミシェル・クワンを破って金メダル。リレハンメル五輪では17歳のサラ・ヒューズが、クワン、イリーナ・スルツカヤら世界女王たちをおさえて金メダルを獲得した。
「日本では、浅田選手とキム・ヨナ選手の対決ばかりが注目されがちですが、ソチではぜひ、個性豊かな他の選手たちにも目を向けてほしいですね」(前ライター)。宿命の対決に加え、ベテランVS若手の戦いが繰り広げられそうな、“役者のそろった”ソチ五輪。勝利の女神は誰に微笑むのだろうか。
写真■getty images