スポーツ

元阪急・今井雄太郎氏 宴会で酔って店の2階から用を足した

 2月1日、プロ野球界はキャンプインを迎え、新たなシーズンに向け各チームが始動した。数十人の男たちが1か月近く同じ釜の飯を食うキャンプでは、ちょっとした事件も起こるもの。スポーツライターの永谷脩氏が、1980年代にキャンプ地として栄えた高知の街の思い出を綴る。(敬称略)

 * * *
 高知県がキャンプ時期の2月に賑わいを見せたのは、80年代前半のことである。高知市内の阪急をはじめ、安芸(あき)の阪神、宿毛(すくも)の近鉄、大方(おおがた)の南海に、春野の西武と、複数球団が顔を揃えていた。

 特に市内を流れる鏡川沿いにあった阪急の宿舎は、キャンプ期間中、選手の帰りを待つ若い女性ファンの一団で華やいだものだった。当時の高知は昼も夜も、阪急の天下。宿舎を挟んで対岸には競輪場があり、休日などには、安芸からやって来た阪神の選手と、阪急勢が顔を合わせることもあったが、そこでは「どちらが博才があるか」と賭けをしたり、「市内で遊ぶなら日本一になってからにしろ」と、阪急勢に阪神の若手が叱責される一幕も見られたものだ。

 夜には市内の繁華街・帯屋町(おびやまち)に繰り出す。そこには、人呼んで「帯屋町のカズさん」という、選手たちからの信頼の厚い名物オヤジがいた。ストリップ小屋の裏通りを入ったところにあった、ワケありの夫婦が営む小料理屋「K」の主人。キャンプの時期は休日無しで開店し、いつ来るかわからない気ままな選手たちを待っていた。

 阪急の投手会の二次会は、その店の2階でやることが多かった。宴会の真っ只中、酔って我慢ができなくなった今井雄太郎が2階から用を足してしまったこともある。その時偶然、オヤジがガラリと入り口の扉を開けてしまい、夜空を見上げながら、「高知の雨は酒の臭いが一段とする」と悠然と言い放ったのを思い出す。

 また、いつも店を開けていたのは、「選手に何かあった時のため」という事情もある。ある時、西武の若手が地回りの女に手を出して若い衆に追いかけられ、その店に駆け込んだことがあった。機転を利かせたオヤジが便所に隠したことで事なきを得たが、「どこの世界でも新参者は義を通さず、無茶をするから困る」とポツリと言っていた。

※週刊ポスト2014年2月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
副作用でEDリスクのある薬(イメージ)
《副作用を知らずに服用しているケースも》“飲み続けるとEDになるリスクがある”97の薬の実名リスト 降圧剤、糖尿病、胃薬、解熱鎮痛薬など
週刊ポスト
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン