芸能

最高の離婚 舞台連想させる生々しい演出が画期的と女性作家

 昨年数々の賞に輝いたドラマのスペシャル版が放送される。旬の役者が揃うこの作品の魅力について、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 離婚したのに一緒に暮らしている2人。別れようとしたのにやり直すことになった2人。4人の男女が、からみあい、ぶつかり、触れあい、そして別れ、結びつく。昨年の春に人気を博した異色のドラマ『最高の離婚』(フジ系)が、2月8日午後9時、いよいよ満を持してスペシャル版で戻ってきます。

 ちょっと不思議な、2組の夫婦の物語。几帳面な元夫・光生を演じるのは瑛太。少しズボラだけれどマイペース、夫と正反対の性格・結夏を演じるのは尾野真千子。光生と結夏は、離婚したのに、なぜか同居を続けている。

 一方、灯里(真木よう子)と諒(綾野剛)のカップルは、過去の恋愛関係がからみつき、2人の思いはもつれていく……。そんな人物設定もちょっと風変わりでした。が、なんといってもこのドラマの特徴は、「構成」と「セリフ」にありました。

 毎回、前半はちょっとコミカル。後半はシリアスな直球。ドラマの前半と後半とでは、雰囲気がガラリと変わる仕掛け。白と黒。まるで、2部に構成された舞台劇のようだった。

 そして、さらにドラマを特徴づけていたのが、長い独白セリフ。滔々と自分の思いのたけを吐き出す女たち。時には、男たちも。

 舞台上の芝居ならばいざ知らず、テレビドラマの中で5分間近くも、独りで中空を眺めながら、あるいはカメラを見つめながら、延々とセリフを吐き続けるシーン。テレビ画面ではなかなかお目にかかれない、珍しい光景でした。

 長いセリフを語る時の俳優のうるんだ目、顔つき、しぐさ、震える口もと。みごとな集中力、気迫、張りつめた緊張感。こちらもドキドキしながら引き込まれてしまった。演技する肉体に、テレビ画面を通してじかに触れているかのような、生々しさがあった。

 このドラマの面白みはまさしくそのあたりを演じきった役者たちの力と、言葉を練り上げた脚本、そしてメリハリ効いた演出力にあったのでした。

『最高の離婚』はテレビドラマでありつつ、舞台上で俳優が演じているというライブ感が画面から伝わってきたのです。まるで、テレビと舞台が融合したかのような、不思議な世界でした。

 さて、今回のスペシャル版では、どんな長セリフが語られるのか? 誰が、どんな思いのたけを、どんな風に叩きつけてくるのか? 4人の男と女の関係は、どんな結末を迎えるのか?

関連記事

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン