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「自分が作った道を皆が歩く…」 雪かきに楽しさ見出す男性も

 首都圏では2週続けて記録的な大雪に見舞われ、街のあちこちで慣れない雪かきに悪戦苦闘する人々の姿が目についた。「雪かき」に精を出す人、そうでない人……都心では滅多に経験のない大雪で見えてきたのは、人々の人間模様だった。

 そんな中、「都民も捨てたもんじゃない」と満足気に語る人も多かった。それはまるで武勇伝だ。

「朝早起きしてしまったから、ショベル片手に始めたんだよ。マンション前の玄関から始めたら楽しくなってきてね。自分が作った道の上をみんなが歩いて行く……そう思うと止まらなくなった。結局20m先の交差点まで1人で全部やりましたよ」(渋谷区・40代男性)

 興奮気味に雪かき体験を語ったのは江東区在住30代男性。

「駅に向かう道の雪を路肩に積んでいると、“私もやりましょう”といって手伝ってくれる見知らぬ住民の方もいた。若い女子学生も“ご苦労様です”といって、缶コーヒーを差し入れしてくれた。筋肉痛にはなったけど、いい汗かいたと清々しい気分に浸りました」

“鍋奉行”ならぬ“雪かき奉行”に就任したと嬉しそうに話す男性も。

「北陸出身の私には雪かきはお手の物。坂道やカーブなど優先的に除雪する場所や、雪置き場の確保など率先して町内会の人に教えてあげて、頼もしがられた。初めてご近所さんのお役に立ててよかった」(40代会社員)

「側溝で脱輪した軽トラックを、近くで雪かきしていた私たち住民4~5人で押し上げて動かしました。知らない人とも一致団結して人助けすることが、こんなに気持ちいいとは知らなかった」(20代大学生)

 マンション管理研究会代表で、マンション管理士の飯田勝啓氏も指摘する。

「震災以降、誰もが近隣住民と連携した防災活動の大切さを感じていますが、なかなかその機会もなかった。雪かきを通して、知らない隣人同士でコミュニケーションが深まったというマンション住民は少なくない。今後、防災意識を住民同士が共有しあう契機となればいいですね」

 古い家屋が並ぶ都内のある住宅街では、雪かきをきっかけにお年寄りと子供たちの触れ合いの場ができたという。

「お年寄りたちが近所の100段ほどある石段で、『大雪の日はゴザのソリ遊びをしたもんだ』という昔話をしたんです。それで、早速、みんなで雪かきした雪を石段に集めて、子供たちがソリ遊びに興じました。

 近所のおばさん連中が豚汁やおにぎりを振る舞ってくれて、ちょっとした縁日気分で盛り上がることができ、最高の週末になりました」(40代会社員)

 結局、ソリ遊びで踏み固まった雪が石段に残り、しばらく通行ができなくなったが、近所の誰からも苦情は出なかったという。

※週刊ポスト2014年2月28日号

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